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□夢中だよ。
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『ていうか、サンタかトナカイしかないよね?』

『…だよな』

『あるじゃん!!雪だるま!!!』


沖と巣山の会話に、すかさず田島が混ざる。



『誰が雪だるまに仮装すんだよ!!』

『もー、阿部はすぐ怒鳴るなー』

『ハイハイ、それくらいにして。花井、どうする?』


キャプテンは、また眉間にシワを寄せて悩んでいた。

このメンバーまとめるのはかなりの体力を消費しそうだ。





『花井ぃ、そんな悩んでるとハゲるぞー』


『おま…お前のせいだろが!!』


『…あ、もうハゲだった』


『ハゲじゃねぇ!!坊主だ!!ぼ・う・ず!!』


『痴話喧嘩はよそでしろってばー』


水谷が、いつものように言い争いを始める2人の仲裁に入る。

まぁ、一方的に鼻息を荒くしているのは花井だが。



(とばっちり喰らうに決まってるのに…)



『痴話だと!?なんでこんな奴と!!』


『チワってなんだよー!!うまいのか?』



(…ほら、阿部がイライラしてるぞ〜…)


ぎゃーぎゃーと騒ぐ三人の後ろで、明らかに不機嫌そうな顔になっていく。

そろそろキレるな…そう思っていた直後。




『水谷はマヌケなトナカイに決定な』


『は…!?』


いきなりの阿部の発言に、本人は目を丸くする。




『ていうか水谷だけ仮装でいいんじゃね?』


『ちょ…』


『それいいな!面白そう!!』


『な、なんでオレだけ!?しかもマヌケって!!』


花井と田島もすっかり阿部の提案に乗り気だ。



(ほら…言わんこっちゃない…)



今にも泣き出しそうな水谷に、ユニフォームの裾を引っ張られ、助け船を出そうか迷ったんだけど…。





『オレ、トナカイ好きだよ』


『『『はい、決定ー!!!』』』


『…栄口…楽しんでるだろー!!』


裏切りもの〜、と情けない声で水谷はつぶやいた。



だって、トナカイの水谷が見られるのはオイシイでしょ(笑)




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