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□その愛らしさは罠か道標か
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【今日休みます、和さん達によろしく】







今朝こんな迷惑メールが一通、オレの睡眠を妨げた。


『…はぁ?』


まぁ、朝起きなくてはいけない時間帯だったから結果的に助かったんだけど。

それでも、もそもそと携帯片手に布団の中で睡魔と戦うオレに。



【準さん、ち・こ・く】



まるでそこにいるかのような二通目が届いた。


『…うっせぇよ、バカ利央』


てゆーか休むとかなんだいきなり。
オレを一人にしてたら浮気すっぞ。

…いや、しないけど。


『母さん、めーしー』


飯食って、頭覚まして、着替えてカバン持って、時間通り教室の席に…




…のはずだったんだが。




ピンポーン


『……』


ピンポン ピンポーン


―…だれー?


『オレ、開けろ』


―……準さん?!




なぜか自転車で向かった先は利央の家だった。

まー、なんとなく気になって。

サボリだったら引っ張ってってやろうかと。


しばらくの時間が過ぎ、静かに玄関が開いた。



「準さん何しにきたのー」

『お前パジャマのままじゃん』

「用がないなら…わっ」

『…熱か』


ペタッと利央のデコに手を当てると、じんわりと熱を感じた。
結構高いみたいで汗もかいている。


『寝とけよ、バカ』

「準さんが来たから寝れなかったの!」


そう言う声にも覇気がない。



『はいはい、オレが悪いねー』

「ちょ、準さ…ぎゃ…!」


そのまま無理やり家に入って鍵をかけ、利央を強引に抱き上げる。

お姫様抱っこなんかこんな時くらいしか出来ない。







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