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□ブーケなんかなくとも
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『ちわー』

「準さぁーん!」

『ぐぇっ…』


部室に入った途端、強烈なタックルをくらった。
正確には勢いのあるハグ。

(何度注意してもこいつは…)



『汚いユニフォームで抱きつくな』

「にへへ…準さんイイ匂い…」

「イチャつくな垂れ目ー」

「利央きもーい」


外野から野次が飛ぶも、今日の利央はテンションが下がる様子もなく。


「聞いて準さん!」

『とりあえず着替えさせろよ』

「昨日ね、教会で結婚式挙げてるの見ちゃった!」

『ふーん』

「花嫁さんスッゴイ綺麗でさぁ!」

『へー…』


うっとりした顔で何を言うかと思えば。



「オレも準さんと早く式挙げたいなー」

『…………は?』

「教会で結婚式!」

『男同士で式なんか挙げるかよ』

「えっ…」



もちろん利央が好きで、付き合ってるしずっと一緒にいたいと思う。

けどそれと結婚式はまた別の話。




「慎吾さんに理性が足りないとしたら」

『…は?』

「準さんには乙女心が足りないよね」


もの凄い反抗的な視線をオレに向けて利央は部室を出て行った。



『…意味分かんねぇ』

「なんでオレに理性が足りねぇんだよ」

「足りないでしょ」



いやいや、乙女心ってお前。
オレは男だし。

…てゆーかお前も男じゃん。






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