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□微笑みにご注意
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「…本やん」
『んー?』
今日はやけに名前を呼ぶな…なんて不思議に思いながら愛しい山ちゃんの言葉に耳を傾ける。
「変わらない気持ちってあると思う?」
『…多分』
そりゃ物にもよるだろうけど…それにしても相変わらずいきなり話が飛ぶね。
「オレと本やんの愛情は?」
『永遠不滅!』
それだけはハッキリ言えた。
ハッキリと言いたかった。
もし山ちゃんがなにか迷っているのであれば、そんなもの吹き飛ばしてしまうくらいの愛情を伝えたくて。
だって…悲しそうな笑みを浮かべて問うから。
「…そっか!」
しばらく見つめ合った後、にっこりといつもの笑顔になった様子にオレは心底安堵した。
『山ちゃん、勉強なんか置いといてオレを構ってよー!』
「調教中だって言ったでしょー」
『たまには甘やかさないとダメだって』
なんだかんだ言ってオレの胸に収まる山ちゃんの表情といったら。
まるで恋する乙女だからたまらない。
『山ちゃん可愛いから、ちゅー…』
「調子のんな」
この時、山ちゃんの言葉の意味に気付けなかったオレは数日後に驚愕する事となる。
『……ぇ』
変わらない気持ちってあると思う?
山ちゃんはオレと別の大学を志望した。
―続く―
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