このまま、時が止まればいい。
全て、止まればいい。
「…フィディオ、そろそろ、どいてくれるか…?」
苦笑いしながら、体制を元に戻そうと手を付くマーク。
「…だめだよ、マーク」
ニッ、と笑う。
「えっ…、なん、で」
少し、恐怖を覚えたようなその表情は素敵だ。
これ以上惚れたら、どうしてくれる?
「…マークは俺のことが好きだよな?」
何度も、繰り返す質問。
マークも、驚いていた。
「…す、好きに決まってるだろ、さ、どい、て」
俺はマークの、首筋を撫でた。
「…ん!ふっ…ぁ、何、して…」
顔を赤らめあなら、抵抗するマーク。
だが、それは誘いにしか見えなくて。
マークの首筋を触っている手に、少し力を込めた。
「ぅ゛!ぅぁ…ぃ゛っ…フィ、ディオ…?」
潤んだ瞳で見つめられる。
だが、止まる事の無い俺の手。
「…ねぇ、マーク。俺がこのまま、力を入れたら…どうなると思う?」
余裕の表情を浮かべた俺の顔を見て、マークはぽろぽろと、涙を流した。
「…っ…なっ…そ、んなの……死ぬっ…に、決まって…ぅ゛!」
酸素が少し少なくなってきたのか、抵抗する手の力が弱ってきた様子。
涙ぐんだ濡れた瞳が必死に、”やめてくれ”と訴える。
「…そっか…死んじゃうんだ…」
さらに、力を込める。
「…ぁ゛…やめ、ろぉ」
嬉しい。
もう少しで俺のモノになるんだ。
「…ねぇ、マーク。マークは俺のモノになってくれるだろ?」
「…………」
すでに、返事がない。
どうしよう
嬉しい
嬉しい
ついに、マークが俺だけのモノになったんだ。
誰にも、触れられない、見られない、邪魔されない。
ついに、やったんだ。
「…これでずっと一緒だな」
その部屋には、二人の天使が瞼を閉じた。