あの日から シリーズ

□あの日から 夏編
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鐘「ん?」

亮「…どうやら、ココに来ても意味は無いみたいだぜ?」

鐘「えっ?」

窓のほうを見る。

廊下には、おそらく鐘のファンだろうと思われる女の子たちがたくさん居た。


鐘「あー……本当だ………」

困ったように笑いながらそう言う。

亮「はやく逃げろよ」

冴「俺らまで、巻添えにするなよ……邪魔」

鐘「相変わらず…冴は容赦ないね…仕方ない……戻るよ」

そう言い、走って教室から出て行く。

鐘が出て行って、走っていった方向に女の子たちも追いかけていった。


杏「すごい人だったね………」

亮「…そうか?」

杏「うん」

冴「いつもの事………」

杏「へぇ………」

大変だろうなぁ…と思いつつ、廊下を見る。

先ほどの光景は嘘だったかのように、そこには、いつもどおりの普通の廊下が見える。

冴「おかげで、こっちまで巻添えで迷惑だよ………」

杏「アハハ……なにげに酷いね」

冴の言葉に、苦笑してそう言う。

冴「そう?」

杏「んー……多分」

毎回付き合わされるなら、無理もないかもだけどね、と笑いながら付け足す杏。

冴「…そうかも、な」

表情は分からないが、声的に笑っている。

杏「……クスッ」

それに気づいた杏も、笑う。

亮「………」

そんな二人を黙って見ている亮。

その目は、嬉しさをうつしている。

亮(冴の奴…杏のこと信じているんだな)

長年、一緒に冴といた亮には分かっていた。

〔キーンコーン〕

杏「あ、チャイム鳴ったね」

そう言いながら席につく。

その後2人も席につく。

《ガラッ》

先生「早速だが、今日はニュースがあるぞー!」

入ってくるなり、いつもより、楽しそうに声を上げる先生。

杏「?」

先生「実は…今年から、夏には海に行く事になったからなー!」

〔ザワ、ザワ〕

杏「…海?」

冴「………」

亮「まじかよ………」

みんなビックリしている。

先生「と、いうわけだから、今日のLHRの時間は計画立てるからなー!」

それだけ、言い、先生は教室から出て行った。


〔キーンコーン〕

「海だってー!」「やったー!」

HRが終わってから、みんな騒ぎ出す。

杏「…海…つまり…臨海学校?」

亮「そういうことだな」

冴「………」

杏「何するんだろう?…ま、楽しそうだね!」

亮「あぁ、そうだな」

微笑みながら言う。

冴「………」


     
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