あの日から シリーズ

□あの日から 番外編
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ある日の出来事

亮「おい、テメェ……」

竜鬼「あ? 何だよ」

亮「ちょっと、こっち来い」

ある日、亮が竜鬼を呼び出した。

何故だか、亮は怒っている様子だ。

普段から仲が良いとは言えない二人だが、こんな喧嘩腰なことはない。

竜鬼「んだよ……俺は忙しい。行く気はない」

亮「は? もう放課後だし、大丈夫だろ?」

竜鬼「俺は風紀委員なんだ。毎日が忙しいんだよ……お前と違ってな!」

バカにするようにそう言う。

それに対して亮は眉間にしわを寄せる。

亮「何だと! 俺だって、忙しい中来てやってるんだよ」

竜鬼「だったら帰れよ」

ギクシャクした会話。

亮の態度が気に入らなかったのか、竜鬼も今日は喧嘩腰だ。

亮「ダメだ!! 今日は、帰るわけにはいかねぇ……大事な話だ」

竜鬼「……分かった、行ってやるよ……仕事が終わったらな」

亮「今すぐだ」



一方その頃

杏「あれ? えっと……冴くん一人?」

いつも帰るときは亮もいるので不思議に思ってそう聞く杏。

周りを見渡して、亮がいないことを再確認する。

冴「……うん」

杏「珍しいね……亮くんは?」

冴「あぁ……何か、話あるって行った」

杏「話……? 誰に?」

冴「……竜……鬼?」

随分曖昧そうにそう言って、首をかしげる冴。

竜鬼のところへ行ったのか確信が持てなかったわけではない。

単に名前が合っているかわからなかったからだ。

杏「竜鬼のところ……?」

普段教室へ行ってまで喋るほどのことはしていない、なら何故わざわざ竜鬼に会いに行ったのか、不思議そうにする杏。

杏も少し首をかしげる。

冴「……」

杏の言葉に肯定するかわりに、黙ったまま頷く冴。

杏「ってことは……あっちの教室かな……まぁ、竜鬼に用もあるし……」

そう独り言のように小さく言ってから、竜鬼の教室に向かう杏。

何故か、冴もついてくる。

杏は、亮がいるからだろう、と自己解決し、特に聞くこともせず、そのまま向かった。



竜鬼「あのなぁ……大事な話しって……俺は、お前なんかと話したくねぇよ」

未だに続いていた様子の二人の言いあい。

亮「俺だって、同じだよ……でも、杏のことなんだよ」

竜鬼「!!」

『杏のこと』その言葉で動きが止まる竜鬼。

亮「反応したな」

竜鬼「……で、アイツがなんだって?」

睨むように亮を見ながらそう聞く竜鬼。

亮「それはな……」

亮が内容を言おうとしたその時――

《ガラッ》

教室のドアが開き、一旦言葉を切る亮。

杏「あ、居た居た」

ドア付近から教室を見渡していた杏が二人を見つけ、そう言う。

そう言ってから、二人に近づく杏。

亮「杏?!」

杏「ん? 亮くん、やっぱり竜鬼と一緒にココに居たんだ……仲いいね」

亮「いや! 俺は別にコイツと一緒に居たいわけじゃなくて! てか、仲良くないから!!」

急いで誤解を解き始める亮。

竜鬼も言い返しはしないものの、仲良しと言われいい顔はしていない。

杏「あー……うん、そう、なんだ」

亮の必至さと竜鬼の表情を見て、少し苦笑しながらそう言う。

亮「あ……ごめん、つい……」

杏「ううん……昔は仲良かったのにね……竜鬼と亮くん……」

亮「えっ? 良かった……?」

その時、昔の事を思い出した。


     
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