あの日から シリーズ

□あの日から 冬編
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「あ!行っちゃった………」

「仕方ない、諦めよー」

そんなことを言いながら、散らばっていく。

杏「行っちゃったねー」

詩「どうする?」

杏「私たちも行こうか」

詩「うん」

そう言い、二人も廊下に出て行く。



杏「あれ?どこ行ったんだろ?」

辺りを見渡しても、見当たらない。

詩「どこまで、行ったんだろうね?」

杏「うーん……ちょっと、探そうか」

そう言い、歩き出す。



しばらく探していると―

竜鬼「あれ?杏?何してるんだ?」

杏「あ、竜鬼……今、亮と冴を探してるところ……どこ行ったか、知らない?」

竜鬼「……知らない」

少し不機嫌に答える竜鬼。

杏「?…そっか、ありがと」

そう言い、また歩き出す。

詩「なかなか見つからないね」

杏「そうだね……あ、でも、かくれんぼみたいで楽しいかも!」

詩「そう?」

杏「うん!!」

そんなことを言いながら、しばらく探していると―



杏「あ、居た」

詩「…本当ね」

杏「亮!冴!」

亮「ん?……あ、杏」

一瞬、誰だよという感じに振り返ったが、

それが、杏たちだと分かり、表情を明るくする。

冴「……どうかした?」

詩「どうかした?じゃないよ……探したんだよ」

亮「え?そうなのか?悪い」

詩「本当に反省してるの?杏にわざわざ、探させて………」

言いながら、杏を抱きしめる。

しかし、杏は驚いたような顔をして、頭に疑問符を浮かべている。

亮「…本当に悪い」

冴「ごめん………」

二人とも申し訳なさそうに謝る。

杏「いや…私は、全然怒ってないし……だから、ね?」

詩「…杏がそう言うなら………」

杏を離しながらそう言う。

亮・冴「………」

亮と冴にも疑問符が上がっている。


杏「…でも、断って良かったの?」

亮「え?」

杏「女子のみんな…なんか、残念がってたし………」

亮「だって、先に杏たちと約束したし………」

杏「…私のわがままで決まったことだし、別に、違う日でも良いよ?」

そう言い、杏は無理やり口角を上げ、笑っている。

亮「杏………」

杏「ほら、今からでも遅くないと思うよ?」

詩「でも、それじゃぁ、杏が…!!」

杏「だから、別の日でも良いって………」

明らかに無理をして笑っている。

誰からみても、それが分かる。


冴「……杏」

杏「どうしたの?」

冴「ちょっと、こっち………」

そう言い冴は、少し強引に杏の腕を握って行く。

杏「え?あ、ちょっと…?」

状況があまり理解できずに戸惑う杏。

冴「二人とも、先に教室戻っておいて」

そう二人に告げてから、どんどん歩いていく。

残された二人は………

亮「………」

亮は少しポカーンとしている。

いっぽう、詩は………

詩「…また、連れて行った……いつも、冴君ばかり、杏を独り占めして………」

などとブツブツ呟いている。

亮「…とりあえず、戻るか」

詩「えぇ………」

そうして、少し不満そうだが、二人は教室に戻った。



いっぽう、杏と冴はというと………

杏「冴?どこに行くの?てか、どうしたの?」

冴「…少し話がある」

それだけ言い、引っ張っていく。


     
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