頂き物

【SP】ぱだしゃんからの贈り物〜桂木大地〜
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今日は久しぶりに、彼女が総理官邸に来ている



この春から社会人となり、学生の時ほど頻繁に官邸に来ることはなくなった



他の奴ら(特に昴と海司)に社会人になり益々、綺麗になった彼女を見られないで済むのは有り難いが



自分も会える機会が減るのは少し寂しい



ただでさえ、最近は嫌がらせのように総理が海外や国内の視察警備に俺を同行させるからデートもままならない状態なのだ




当然、あっちの方もご無沙汰で………



そんなことを思って、はぁ……と深いため息をつくと



『いい子振らないで、さっさと部屋の鍵を渡して一緒に住んでしまえばいいのに………

そうすりゃぁ、そんなため息をつかずにすみますよ』



と昴



いや、しかし、総理の手前もあるしな…などと弁解すると



『ぐずぐずしてると他の誰かにアイツを奪//われてしまいますよ班長』



他の誰かって誰にだ?



『社会人になったアイツの周りには危ない狼がうようよしてるってことです

ここなら、班長の目が届きますけど、ここ以外の場所ではどうやってアイツを守るんですか』



うっ……確かに………



『若い奴らだけじゃない、班長と同じ歳の男や班長より、もっとダンディーな歳上の男だって会社にはうじゃうじゃいるんですよ』


 
ん?なんか少し引っかかることを言われた気がするが………



『アイツは少しファザ○ンの気があるから、ちゃんと捕まえてお かないと班長にほってお かれた寂しさから、会社の上司と………』



いや、そ、それは不味いッ!



ふ、不○はマズイだろ
いや、○倫とかの問題じゃなくてッ!



『だから、そうならないためにも今度の誕生日に他のプレゼントと一緒に部屋の鍵でも渡したらどうですか?』



か、鍵を!?



『そう、24時間警護するって誓ったんだから、夜は必ずアイツの側にいないと……』



な、なぜ、それをお前が知っている



と言う俺の疑問を全て無視して、昴がにっこり笑って差し出したのは



『はい、これ』



こ、これは………



『科捜研の知り合いに頼んで作ってもらいました。ハートのキーカバーは俺からのプレゼントです』



ちょ、ちょっとまて……い、一体いつの間に



て言うか科捜研て………そんなこと出来るのか?



『大丈夫です。警備上どうしても必要だからって言って作ってもらいましたから。鍵マ○アがいるんですよ

あぁ、もちろん二人の邪魔なんて野暮なことは考えてませんかて野暮なことは考えてませんから、きっちり一本しか作ってません』



あ、当たり前だッ!



 
『ふふん。本当に班長ってアイツのこととなると冷静さを失いますね

まっ、弄りがいがあって楽しいですけど』



昴から奪った鍵を握りしめて怒る俺に昴が嬉しそうに言う



お、お前ッ!



更に怒鳴りつけようとする俺に昴は



『早く行かなくていいんですか?アイツずっと待ってますよ

あんまり待たせると、海司やそらがアイツにちょっかいかけますよ。確か瑞希も今日、官邸内にいますしね』



えっ?!



『ほら、行った、行った……じゃないと今頃、海司とそらが……』



く、くそッ!



『ははははは、頑張れ班長ぉぉぉぉ』



慌ててロッカールームを飛び出し、彼女の待つ控室を目指す俺を昴の高笑いが追いかける






でも






『頑張れよ、班長……頑張ってアイツを幸せにしてやってくれ……俺が完全にアイツを諦められるように……』



こんな昴の切ない呟きは俺には届かなかった




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