頂き物
□【マフィア】SHINOちんからの贈り物〜有馬郁人〜
1ページ/3ページ
「海さん、今度の週末、貴女の時間を私に頂けませんか?」
夕食の片付けも終わり、部屋に戻る途中、郁人さんに呼び止められた。
「あの、確か今週末は挨拶回りが…」
「はい。ボスの古い知り合いの森久保様は、現在は沖縄でリゾート経営をされておいでなんですよ?」
「え、沖縄に…ご挨拶に?!」
「ええ、そうです。折角沖縄まで行くのですから、ご挨拶が済みましたら、その後は休暇を兼ねて久しぶりに二人で過ごすというのは…如何でしょう」
「…いいんですか…?」
「勿論です。平日は学校、休日はボス代理の仕事、と…
貴女はここの所ずっと忙しくて、ゆっくり身体を休める事もできなかったでしょう?
それに、申し訳ありません…忙しさにかまけて、まだ二人きりでのお誕生日祝いをさせて戴いておりませんし…如何でしょうか?」
「嬉しい…!!郁人さん、ありがとうございます!!凄く楽しみ!!」
「フフ…組の皆には内緒ですよ…、あくまでも表向きは“挨拶回り”がメインですからね、ボス代理?」
わざとそんな言い方をして微笑む郁人さん。
ここ最近、バタバタと忙しい日が続いた為、組の皆には揃ってお祝いして貰ったけれど、記念すべき二十歳の誕生日を郁人さんと二人きりで過ごせなかった…
その事を、少なからず残念に思っていた私。
(郁人さんだってずっと忙しかった筈なのに…私の事、ちゃんと、気にかけてくれてたんだ…!!)
嬉しくて、部屋に戻ってからも頬が緩むのを抑え切れなかった。
・・・ ・ ☆ ・ ・・・
そして週末――…
おじいちゃんの古い知り合い、森久保さんは、穏やかな笑顔の、とても紳士的な人だった。
東京にいるお孫さんは、アパレルメーカーでデザイナーをしているらしい。
ランチをしながら、おじいちゃんとの思い出話や、森久保さんのお孫さんの話を聞かせて貰ったりして、終始和やかに時間が過ぎた。
デザートを食べ終えると、
「若い方には色々と予定もおありでしょうから…、私はこの辺で失礼しますよ。
では、沖縄の海を存分に楽しんで下さいね。」
と、森久保さんは私にウインクし、ニッコリと笑って去って行った。
To be continued…