頂き物

【社恋】優華ちゃんからの贈り物〜白鷺涼真〜
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それは他の人にとってはいつもと変わらない日だった



「はい、アンフィニット新事業部郷田でございます。



えっ!?それは本当ですか?分かりました。…はい、すぐ相田を向かわせます。」



ガチャ



「相田、ちょっといいか、悪いが至急大阪までいってくれ」



「…今からですか?」



「トラブルが発生したらしくてな、俺が代わりにいけたらいいんだが先方はお前を指名してきた。急だがよろしく頼む」



「わかりました、至急向かいます!」



「悪いな、よろしく頼む。じゃあ俺は会議があるから」



バタバタと急ぎ足で会議室に向かう足音を聞きながらカレンダーをちらっと見た



今日は私の誕生日



夜に涼真さんとディナーの約束があったけど無理そう



(よりによって今日か、涼真さんにメール入れとかないと)



「ごめんなさい、今日は行けそうにないのでお店にキャンセルの電話お願いします」



(仕事だもんね、よし頑張ろう)



「わざわざ大阪までお越し頂きありがとうございました。相田さんのおかげで何とか間に合わせることが出来そうです」



「いえ、解決して良かったです。では社に戻りますね。」



そして急ぎ新幹線に乗り込み会社についたのは午後11時それから報告書を仕上げ時計をみれば針はもうすぐ真上に到達するところであった



「きょう」が終わってしまう



他の人なら何でもない日



でもわたしにしたら特別な日



誕生日を待ち侘びるなんて何年ぶりだったんだろう



年を重ねていくうちにいつしか関心もなくなっていた



けれど今年は涼真さんと出逢い・・初めて二人で過ごせることを楽しみにしていたのに



(それなのにトラブルで残業とか・・・ついてない)



チクッ タクッ チクッ・・



針が時を刻む中あと1分で日付が変わるところで



カチャ・・扉が開いた
そこに居たのは今一番会いたかった人


 
「涼真さん!?どうしてここに」



走ってきたのか息を切らせている



「どうしても日付が変わる前に貴方に伝えたくて、海誕生日おめでとう生まれてきてくれてありがとう」



あぁ…もう駄目



どうしてこの人は私の一番欲しい言葉がわかるんだろう



嬉しくて思わずガバッとその胸に抱きついた



「海・・・会社ですよ?」



たしなめるようなことを言いながらも涼真さんの手は私の背に回る



「涼真さん、実は私欲しいものがあります」



「何ですか、ディナーも出来なかったので今度埋め合わせさせて下さい」



「それもいいですけど・・・今涼真さんが欲しい」



多分今私の顔は真っ赤になっているだろう


 
恥ずかしくて自分から求めることなんてなかったのに・・・



「駄目・・ですか」



と顔を上にあげると返事の代わりに唇が重なった



「行きましょう、今日はたっぷりご奉仕しますよ」



耳許でそっと囁かれた言葉は更なる情欲を煽るのに充分だった



その後どんな甘い夜を迎えたかは二人だけの秘密






終わり

 

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