牙狼

□秘薬
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「あんたって、今だに鋼牙と寝てないのかい?」
邪美はニヤリと笑うと鋼牙邸の庭で優雅にお茶を飲みながら前に座っているカオルに問い掛ける。
「え?寝るって」
カオルはすぐさま質問の意味が分かると驚きの顔で飲んでいた紅茶をソーサーにガチャンと音をたてて戻す。
「まったく、鋼牙は何やっているのかね〜一緒に住んでいながら好きな女に指一つ触れていないなんて」
カオルは、邪美の言葉に真っ赤になると俯いた。
「ええと...」
「鋼牙はあんたの事が大切すぎて抱けないんだろうね。鋼牙らしいよ」
カオルは、邪美の言葉に複雑そうな表情を見せると口を開いた。
「邪美さん、あたし魅力ないんでしょうか?もうちょっと可愛げと邪美さんみたいな魅力的な体があったら鋼牙は抱いてくれるのかな」
「そうじゃないよ、カオル。あんたの事になると鋼牙は冷静さをなくしてしまうだろ?今までのこと考えたら分かるはず。抱いてほしいならあんたから迫るしかないよ」
「そんなこと!」
「鋼牙も男なんだ。惚れている女に迫られたら絶対に落ちる。傍からみたら惚れているのはバレバレなんだから。そこまでの自信がないならとっておきの秘薬をやるよ」
それは、半透明の瑠璃色の瓶に入った液体を邪美は取り出してカオルに手渡した。
「これは?」
「好きな奴の前で素直になれる秘薬。それに女性の魅力も高める効果もある」
カオルは覚悟を決めたようにその瓶を強く握った。
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