牙狼

□絆
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「カオルちゃん、鋼牙が帰って来て良かったね」
零はゴンザが煎れてくれた紅茶を飲みながら中庭でカオルと楽しそうにケーキを食べながら談笑する。
「うん、でもお互い忙しくて鋼牙とまともに話せてないんだ」
「そっか、カオルちゃんちょっと質問良い?」
「何あらたまって零くん?」
「ぶっちゃけ、鋼牙とカオルちゃんてどこまで関係進んでいるの?」
≪ゼロ、そんな質問やめなさい!≫
「そっ...れは.....えっと、キスしかしてないよ...」
カオルは顔を紅く染めながらうつむく。
「はぁ?嘘だろ」
零はがっくりと脱力する。
「もう、鋼牙が帰ってきて1ヶ月だろう?何やってるんだよあいつは」
舌打ちすると真剣な表情でカオルを見る。
「鋼牙は堅物だし肝心な事は言わないのは直しようがないけど、誰よりもカオルちゃんを大事にしているって事は分かっているよね?
「うん、わかっているよ」
「それは、いいんだけど鋼牙はカオルちゃんと結婚するまでは絶対肉体関係にはならないとかって勝手に誓いたてているんじゃないかと俺は思うんだよね?カオルちゃんだって、正直鋼牙が求めてくれないこと辛いんじゃない?」
「それは...」
カオルは少し悲しそうな顔で零を見る。
「鋼牙はかなり我慢していると思うよ。同じ男としての意見だけど」
「本当にそうなのかな?零くん」
「カオルちゃん、それを確かめるならてっとり早い方法がある」
「その方法教えて!」
カオルはせっぱつまった表情で零を見る。
「それは...カオルちゃんから鋼牙に迫るしかない」
「え〜!そんなこと」
カオルは真っ赤になりテーブルに突っ伏した。
「カオルちゃん、好きな人と体を重ねる事は怖いことなんかじゃないからね。すごく幸せな気持ちになるんだ」
「え?」
カオルはテーブルから顔を上げると零が懐かしく言う一方で寂しい表情が目に入った。
「静香を抱いている時は俺も幸せだった。静香を腕に抱いて眠ると夜なんて明けなくてもいいとさえ思った。いづれ子供も生まれて家族で幸せに暮らしていけるとあの当時は疑いもしなかった」
≪ゼロ.....≫
「零くん...」
「なんてね、昔話はおしまい。カオルちゃんと鋼牙には幸せになって欲しいんだ。だから、怖がらずに前に進んで」
じゃあ、俺はそろそろ帰るねとバイバイとカオルに手を振るとさっそうと零は屋敷を後にした。
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