ファイヤーエンブレム聖戦の系譜

□血縁
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「っ...」
アレスは解放すべき村の手前の森でシーフファイターから一撃を受けた。左腕を押さえながら、魔剣ミストルティンで応戦すると、会心の一撃であっけなく撃破することができた。
「次は村を襲っている山賊を倒さないと」
アレスは止血のためにマントを切り取ると素早く自分の腕に巻きつける。
「アレス、回復ならわたしが」
ナンナはリライブの杖を持ち回復呪文を唱えようとした。
「ナンナ、急がないと村が危ない。とりあえずかすり傷だから、村の山賊を倒した時に傷の具合をみて、その時は回復を頼む。」
「分かったわ」
ナンナは力強く頷いた。村へ入ると山賊が家へ入り、金品を奪って破壊行為を行っているところだった。アレスはナンナに安全な所まで下がるように言うと山賊に向かっていく。
「この外道ども」
アレスは鞘から魔剣ミストルティンを抜くと山賊にまっしぐらに突進していく。
「何!きさま何者だ」
山賊が振り向きその言葉を言い終えないうちにアレスの魔剣ミストルティンが体を貫抜いていく。
「お前に名乗る名前などない.....」
地面で倒れる言葉を発しなくなった山賊に吐き捨てるように言うと、次々と山賊が向かってくる。
「そんなに死にたいのか?」
アレスはあっというまに12人全員の山賊を倒し、鞘に剣をしまった。
「アレス」
ナンナは素早く駆けよりアレスの腕をとると傷口の具合を見る。
「ぜんぜんかすり傷じゃないじゃない!」
リライブの杖で素早く傷口を塞いでいく。
「あなたは、未来のアグストリア王なのよ。自分1人の体じゃないんだから!もっと大切にして」
いつも穏やかな表情しかみせないナンナがあまりにもすごい形相で睨みつけてくるのでアレスはひるんだ。アレスは自分の事を本気で心配して怒ってくれている事に気づきうれしさを感じ微笑んだ。
「ナンナ、ありがとう...」
照れながら言うアレスにナンナは、驚きながらも渡した手紙がアレスにとって糧になっている事に喜んだ。
「私たちは、仲間で従兄妹よ。こんなことはお礼を言われるまでもなく当たり前のことよ」
その直後、数人の足音聞き取ったアレスは素早くナンナを後方に下げ、剣を抜ける態勢をとった。
「村を救ってくれたのは、そなた達か?」
アレスとナンナは声の主の方を見ると、老女と青年と幼女が立っていた。
アレスは、警戒心からかすぐに返答しなかったが、村長の連れていた幼女がアレスを指指した。
「そうだよ、村長様。この金髪のお兄ちゃんが山賊をあっと言う間に倒しちゃったの」
その幼女の言葉にアレスは鞘から手を離す。
「すまない、村が襲われる前に助けに来たかったのだが」
アレスの言葉に村長らしき老女はとんでもないという表情をしながら言った。
「おかげさまで、村では怪我人もでなかった。壊れた建物はまた作り直せばいいことじゃ。そなたたち、光の公子セリス様の部隊の方たちであろう?」
「そうだ。村まで巻き込んでしまってすまない」
アレスは申し訳なさそうに言う。
「わしらは、光の公子様を信じているよ。こんな外れの村まで、救済によこして来て下さるだけでも人柄が分かる。」
「ああ、セリスは王としてふさわしいと思う」
ナンナはセリスを憎み、決して理解しようとしなかったアレスがセリスを認める発言をしたのに少し驚き聖女のような頬笑みで傍らに立つ。
村長である老女は青年から箱を受け取ると
「お礼と言っては何だが、これをそなたに差し上げよう」
「これは?」
中には美しい装飾のされた腕輪だった。
「そなたの剣は神器であろう?」
「どうしてそれを....」
「修理代もかかるであろう?この腕輪をすれば金には困らないはずじゃ」
「ありがとう。恩にきる」
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