ファイヤーエンブレム聖戦の系譜

□淋しい二人
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「ありがとう、フィー」
アーサーの手元には炎の剣が握られている。
「アーサーは、魔力を生かした攻撃が良いと思う。炎の剣は斬撃力も悪くないし。」
「そうだな。今日は助かったよフィー」
「じゃあ、お礼にあの店でお茶でもおごって」
フィーはアーサーを急かすと先に店に入っていった。
「へぇー、結構良い雰囲気の店じゃない」
フィーはキョロキョロと辺りを見渡す。店の中は清潔感もあり、照明も少し控えめで、落ち着いた雰囲気だった。アーサーもフィーの後ろから店を見渡していると一番奥の席にシレジアの王子でフィーの兄と最愛の妹ティニーが楽しそうな様子で相席している二人が目に入った。
「お兄ちゃん達も来てたんだ」
フィーは小さく呟いた。
「フィー、あっちに掛けようか」
アーサーは二人から見えない席をフィーに促す。
「ええ、二人の邪魔しちゃ悪いしね」
二人から目をそらし一瞬淋しそうな瞳をしたのをアーサーは見逃さなかった。
「こんな時は俺の前でまで強がんなくていいよ」
「えっ!」
「フィーも、寂しいんだろう?」
「あたしは、寂しくなんて!」
フィーは声を荒げながら言う。アーサーはそんなフィーを宥めた。
「俺は、寂しいさ、やっと10数年ぶりに妹と再開できたと思ったら、あっという間に虫がついて、二人で話をする時間もかなり減ったしね」
「虫!?ってお兄ちゃんにこと?」
「そうだよ。シレジアの王子だろうが、俺にとっては妹を奪った男って認識しかないんだよ。」
不貞腐れておもしろくなさそうに言うアーサーにフィーはくすくすと笑いだした。
「あたし達ってもしかして似たもの同士なのかもね?実はティニーにお兄ちゃんとられたみたいな感情が時々湧いてきて、でも二人が幸せなら邪魔しちゃいけないって自分に言い聞かせてたの」
「そうかもな。俺もまったく同じ感情抱いてたよ。これからも似たもの同士よろしく頼むよフィー」
「分かったわよ、相棒」
フィーのをとびきりの笑顔にアーサーは幸せそうに微笑んだ。
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