Intangible proof

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「お久しぶりです叔父さん叔母さん、ビルにチャーリーにパシー。やぁジニー、ジェームス。初めましてグレンジャーさん、グレンジャー夫人、素敵なネックレスだよハーマイオニー。……それと、どうしたんだいロン。」



自分に該当するであろうハリーの呼び掛けにそれぞれが「あぁ」とか「えぇ」とか生返事をして、ロンに至っては両手で口を押さえてそれでも喋ろうとはしない。…少し可哀想になってきた。



「叔父さん、シリウスのバイク直ってる?」


「―あ、あぁ、納屋の左奥に、変な蠢く椅子の向こうに置いてあるよ。」


「マッサージチェアの奥だね。
ジョージ、学生の時にさ、ほらアンブリッジを脅かす時に使ったあの可愛い爆弾みたいなのってまだ有る?」


「俺の部屋にまだたんまり。ハリー、何かやらかすんなら俺を交ぜてくれないと。」


「ごめん今日はダメなんだ。ちょっと貰っていくよ。」




テーブルから跳び降りたハリーは忙しなく階段を駆け上がると、ややあって忙しなく降りてきた。



 
「叔父さんバイク借りていくからね!…あ、そうだジニー。今日は遅くなるから先に寝てて良いよ。愛してるジェームス。皆さん良い休日を。それじゃ!」



―バタンッ



ハリーはその名のごとく嵐のようにやって来きて、あっという間にウィーズリー家から去っていった。



「何だよ、ずるいなハリー。」



束の間の出来事は未だ残された者達の時間を奪ったままで、ジョージだけがニタニタとその背中を見送っていた。










*****










雲の切れ間から辛うじて顔を出していた夕日が、今沈んだ。
点したヘッドライトが照らし出すのは何も無い空の上で、だが法律の定めには従わなければいけない。



「…だめだ、間に合わないか…。」



車ほどスピードが出ないサイドカー付きのバイクにヤキモキしながら、それでもハリーは全速でホグワーツへと向かった。法定速度内で。









そしてようやく帰ってこれたのは、それから1時間ほど後。またもやハグリッドの小屋の隣に駐車すると急いでマクゴナガルのもとへ向かった。

これなら間に合うかもしれない。
きっと2人で待ちぼうけを食らっている事だろうと慌てて校長室のドアを開ける。しかしその向こうに居たのは優雅にお茶を楽しむマクゴナガルだった。



「お帰りなさいMr.ポッター。」


「はい…あの、間に合いましたか?」



息を切らして戸口に立つハリーに、マクゴナガルは申し訳なさそうに肩を竦める。



「今日は大事を取って中止する事にしました。予定の変更点を含めて明日また協議いたしましょう?あなたには悪いけど…」


「いえ、ジニーには連絡しておきます。気にしないでください。」



勿論その方が良いだろうとハリーも納得できる。それじゃあ折角なのでネビルの所にでも行こうかと思案し始めた時だった。



「…前にいらしたときに、私が『ここへきた理由が果たせる』と言ったのを覚えてらっしゃる?」



マクゴナガルの神妙な声がハリーの思考に割り込んできた。



「―え、 …あぁ、はい。覚えてます。」



確か先々週ここを訪れた帰り際にそう言われたのだ。未だに自分でも解らない、なぜあの日ここへ来たのか。その理由。



「先週はね、プリンス教授もお迎えしていたのよ。」

 
「ナナコさん?」



「あら、もうそんな間柄なのね。でしたら話は早いわ。
彼女は今自室で休んでいます。」



ニコリと微笑んだマクゴナガルにハリーは訳が解らないと首をかしげるばかりだ。それはつまり彼女を訪ねに行けと言うことなのだろうか。



「自室…というと、職員寮ですか?」



いくらマクゴナガルに言われたからといって、女性の部屋に上がるのは気が引ける。しかも彼女とは、この校長が思っているほど打ち解けては居ないのに。



「そうです。職員寮でもずっと奥の外れに有る…セブルスの自室です。」



先ほどの不安の前者は該当から外された。しかしまた別の意味で気が引けてきたハリーだった。






 
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