“と”作
□あなたを信じて FE蒼炎 (セネリオ)
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* * * *
僕は一人彷徨っていた。
行く先も無く、自分は何者なのだろう…と。
だが、自分の事などその頃の僕には
どうでもよかった。
そんな事よりも生きる事に執着していた。
そう、その頃は…
空腹の所為で力無く、ふらふらと村を歩いていると、
ベオクの一人が僕を目掛けて石を投げつけてきた。
一瞬何が起こったのか分からなかった。
まだ、その時の僕は自分が何なのか、
僕と同じ様な者が世間一般からどのような扱いを受けているのか、
理解していなかった。
何で僕だけがこんな目に遭わなければならないんだ。
何で僕に石を投げつけたんだ。
僕がよそ者だから?
僕が薄汚れた格好をしているから?
それとも…
僕の額に コレ があるから?
あのベオク達がどのような理由で石を投げつけて来たのか、僕には未だ解からなかった。
その時はただ、痛みに耐えながら必死に足を動かした。
村は小さく、直ぐに森へと逃げ切れた。
森だと言うのに、小鳥の囀りも無く、動物のいる気配も無い。
僕は、薄気味悪くなって、森を抜け、殺風景な小道に出た。
何故こんなにもこの森が静かなのか、と考える内に疲れと空腹で、その場に倒れ込んでしまった。