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□シンデレラの魔法
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「シンデレラの魔法はもう解けたんだよ」









最近、ずっと考えてた。

このままで良いのかなって。



人とバジュラが戦って

傷つけあって



この戦いの先に未来はあるのかなって




そして、私はある決断をした。
アルトくんやみんなと離れるのは辛い

でも、それ以上に私にはやらなきゃいけないことがある




だから、アルトくんに別れを告げに

ここに来た。




あたしがいきなり放った言葉にアルトくんは訳が分からないといった様な顔をして。

そりゃ、そうだよね。

いきなり呼び出して第一声の言葉がこれだもん。

呆れられたって仕方ない。


自分でも分からないけど涙が出てきた。


「だから、あたしはもうシンデレラじゃ…ないんだよ?」

ぐっと涙を堪えて言葉を紡ぐ。



12時の鐘が鳴って魔法が解けたのに、舞踏会に居座り続けてる可笑しな可笑しなシンデレラ。

そんなシンデレラにはなりたくない。


「ランカ…」

「ねえ、アルトくん。覚えてる?初めて会ったとき、私アルト君のこと女の子だと思っちゃって」

「おい」

「アルトくんをあたしの部屋に呼んだときも、お兄ちゃんにバレそうになって…ゴメンね」

「ランカ、どうしたんだよ。何かあったのか?」

「ううん、何もないよ?ただ、たまにはこういう話するのも良いじゃない?」

気付いてしまった。

皆に届けたいと思って歌っていたのに。

ただ一人に聴いて欲しくて歌ってたこと。

こんなんじゃ、歌えない。

歌う資格なんてないよ。

             
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