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□夢見る現実
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from Ranka Lee
Message
いきなりゴメンね。
アルト君、今日放課後時間空いてる?
話したいことがあるの。
みんなが帰った後、教室で待ってます。
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今の時刻から考えると二時間近くここで待っていたことになる。
その間に疲れて寝てしまったのだろう。
じわじわと罪悪感が胸の内を覆う。
「悪い、ランカ…」
そう言い、机に流れている柔らかな髪をそっと手に取る。
サラサラとした触感を手で持て余していると…。
「…ん、アルト、…君」
一瞬目が覚めたのかと思ったが、只の寝言らしかった。
寝言に自分の名前を呼ばれるのも少しばかり、いや、かなり恥ずかしい。
少しばかりの嬉しさと恥ずかしさが混じり合った、奇妙な感覚。
「…好きだ、ランカ」
口に出してからハッとする。
ランカは気付いたか?
眠っているはずだが、もし聞こえていたら……。
この関係が壊れてしまう。
友達よりも親しく、恋人という仲でもない。
この関係が俺にとっては心地好かった。
告白でもして振られてしまうより、今の関係のままいる方がずっと良い。
逃げているのは分かっている。
でも、親からも逃げている今の俺にはこの関係から踏み出す勇気が無かった。