novel

□ビスケットLOVE
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ある日姉夫婦が交通事故にあって帰らぬ人になり小学5年生の子供が一人残されてしまった。


大学への進学と同時に地元から大学に通うのに便利な姉夫婦の自宅へ居候させてもらっていたのだが、同級生だった二人が一緒に同窓会に出席するというので、子供の面倒を見るために家にいたのだが、交通事故にあったと聞いて慌てて病院へ行ったときにはすでに亡くなっていた。



両親も急きょ上京し、悲しむ暇もなく泣きくずれる両親に代わり子供の世話と、葬式の準備などに追われ、ようやく初七日が過ぎた。

初七日が無事に終わり今後について家族会議が行われた


もちろん姉夫婦の子供についてだ。

「優亜はまだ小学生だ。私たちが引き取って私たちが育てよう」

当然と言えば当然だ。

俺はまだ大学生だし、結婚もしていないどころか彼女すらいない。

「優亜もおばあちゃんと、おじいちゃんと一緒でいいかい?」

とおふくろが、優亜に聞く。

優亜はまだ悲しみが残った目で家をくるりと見まわしてから俺を見る。

優亜は小学5年生で、目が大きく髪の毛は少し栗色で、キレイだった姉の小さきときとそっくりだ。大きな目で俺を見つめたままそっとつぶやいた。

「お兄ちゃんと一緒にこの家に残りたいの・・」

両親が突然いなくなったのだから、家に残りたい気持ちは分からないでもないが、俺は優亜を養えるだけの財力はない。
かろうじて家は姉夫婦がすでに購入済で借主が亡くなってしまった場合にはローンが勝手に返済されるシステムだった為これからもこの家に住めるのだが。。

「お兄ちゃんはね大学があるから、ご飯とか作れないし・・・」
横目で俺を見ながらおふくろが優亜に向かって説得にあたる。

「昂季も言ってやりなさい」

とオヤジも言ってきた。


「優亜はなんでこの家に残りたいんだ?」

姪はかわいい。優亜がこれ以上悲しくならないようにしてあげたい。
姉に代わって優亜を守っていきたいと思った。
まずは、優亜の気持ちを汲んであげたいし、この家にこだわる理由があるなら聞いてあげたい。


「ママとパパがこの家を建てる時にね、一緒にこういう家にしようとかいっぱいいっぱい話ししてこの家ができたの。だから、パパとママがいなくなっちゃっても優亜の家なの。3人で作った家だから、優亜はこの家にいたい・・・」

最後のほうは鳴き声が混じって声も小さくて聞き取りにくかったが、優亜の言いたいこともこの家にいたいという気持ちも痛いほど伝わってきた。


両親は相変わらず説得しようとして、優亜にあれやこれやと言っている。

しかし、優亜は俺をじっとみつめている。
俺も優亜をじっと見る



「とりあえず、近いうちになんとかしないとな。今が夏休みでよかった。」

俺と優亜は夏休みだが、父は仕事があるため一度両親と実家にもどった。

優亜も連れて行こうとしたのだが、この家から離れたくないのか、大泣きして俺から離れない。
かわいい孫の泣き顔もみたくない両親が、俺は夏休みだし優亜の面倒を見れるということで、

俺に米の炊き方と、数点の簡単に作れるオカズの作り方を教えていき実家に戻っていった。

夏休みにがっつり稼ごうと思っていたのだが、優亜がいるので、バイトにも行けず、姉夫婦の貯金については相続がはっきりしない状況なので凍結されている状況。
今使えるお金は、一人暮らししようと思ってためていたお金だけ・・・

両親がバイトできなくなった俺のため・・ではなく、優亜が困らないようにと当面の生活費を置いて行ってくれたのがせめてものすくいだ。

さて・・俺はこれからどうしようか・・・・
 

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