あんけーとっ!

□商品
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それから数日後の学校。
ただいま、くそつまらない授業も終わりひと段落となる昼休み。私は購買のパンをもしゃもしゃと食べている。


「…アンケートの結果来ないねぇ…。」

『だから、言ったじゃん。当たるはずないって。』

「でもさぁ、少しくらい期待したいじゃん。もしかしたら、総司君のポスターとか当たるかもジャン!」

『夢のまた夢でしょ。』


もしゃ。また、一口。
ってか、普通に考えてそーゆーのって当たる確率低いじゃん?なのに、運なんてない一般人の私らが当たるワケないじゃん。
もしゃ。もう、一口。


「もー、ゆずはがそんなこと言ってるから当たらなかったんだよ!」

『…私のせいですか…。』


八つ当たりは勘弁して下さい。
いやさ?私だって、少しは期待してましたよ?でもさ、期待したってダメなもんはダメじゃん。だから、期待は最小限にしておく。
これは…私の中でルールみたいなのになってる。期待したって…。


「ゆずは?」

『あ、ん?何か言った?』

「もう!ちゃんと聞いててよ!だから、いまサイト見たら今日発表だから家に商品届いてるか確認してッて言ってるの!」

『あー、はいはい。良かったね、まだ可能性はあんじゃん。』


もしゃ。最後の一口。








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「さよーならぁ!」


今日も一日何事もなく終わりました。さて、帰りますか。


「ゆずはー!一緒に帰ろう!」

『いいよ。』


私のもとに走ってきた友人を見て頷き、かばんを肩にかける。隣を歩く友達の顔を覗き込む。


「ん?何?」

『リア充の君は彼氏くんと帰らなくていいのかな、と思って。』

「あぁ、いいの。今日はあの人部活だから。」

『ふーん。』


ふぁっ、っとあくびをすれば友達の口が私の口に当てられる。
首をかしげて友達を見る。


「女の子何だか、手ぐらい当てなさい。」

『…はぁい。』


学校を後にする時、彼氏くんらしき人が友達のもとに走ってきた。


『じゃ、私は行くよ。』


そう言ったのに、スクバを掴まれる。
…歩けない。


「今、帰るの?」

「うん。」


…なんと、イケメンくんじゃないですか。この子もついに二次元から卒業ですか。お母さん、悲しい。


「津田も帰り?コイツの事よろしくな。」


…はて、この人は何で私の名前を知ってるのでしょうか。


「口に出てるよι」


困ったように頭を掻くイケメンくん。


「俺、一応同じクラスなんだけどな…。」

『そうなんだ。』

「あんたの後ろの席だよ。」

『なんと。』

「ほんっとにもぅ…。」


ごめんね?とか、イケメンくんに謝る彼女につられ、私も謝る。


『ごめんなさい。』

「いや、別に気にしてないし!改めまして、」


自己紹介する彼。…聞いたことある名前だ。


「じゃあ、またあした!」

「おう!じゃあな!津田も。」

『あ、はい。さようなら。』


帰り道怒られました。人の名前を覚えるのはだいの苦手です。





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『ただいま。』


そう言って家に入っても返ってこない返事。まぁ、一人くらしなんで当たり前ですが。
リビングのドアを開けると机の上に小さな箱があった。…何故。まぁ、いいや。
宛先は…あ、当たった。この前のアンケートが当たった。
そんで何故か分からないけど、その箱の中身が異様に気になったからリュックを担いだまま箱を開ける。
…空。え。いじめですか。私、何かいじめられるような事しましたか。


『いじめ、よくない。真っ黒いあの方の名言。』


その時、ふわっと桜の香が部屋を包んだ。…桜の香とかよくわかんないけど。


『…あ、目にゴミ入った。』


両手で目を擦る。
…ごしごし。ん?
目を開ければ見知らぬ部屋の見知っている顔。


『へーちゃん』

「え、誰ですか」




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          (まじか)
          (いや
          お前、誰)






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