ナミダノアト


□No.4
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それから6年という月日がたった。うちらは14歳になった。今まで特にこれといった出来事はなく平凡、でも幸せな毎日を送っていた。でも、そんなある日、ある事件が起こった。それはうちが目を覚まし、庭に出ていた時に起こった-----。


「ふわぁっ!んー!
今日もいい天気やなぁ!」


伸びをして、新鮮な空気を体内に入れる。空気は冷たく、鼻がつーんとして涙が出てくる。零れそうになった涙を人差し指の背で拭いまた伸びをする。


「お、は、よーさんっ!」


後ろから声とともに誰かが胸を掴む。こんな事をするのは一人しかいなくて…。


「女将さんっ!朝から変な事しんといてや!」


うちにだけ見せる無邪気な女将さん。うちは女将さんの手を胸からはずす。さっきから揉まれてくすぐったいのだ。


「なんや、ゆりか?また大きくなったんやない?」


真顔でそんな事を言うので恥ずかしくなったうちは両腕で胸を隠す。あっちの14歳のうちはこんなに大きくなかったのでそういうことを言われると恥ずかしくなってしまう。


「そ、そないなことないわ!」

「なんや朝から楽しそうな話してるやんけ。」

「出たな、エロ魔神!」


女将さんのえっちぃ視線から逃げるように身をくねらせているとまだ部屋着を着ている廉造が話に入ってきた。いつの間にか身長は追い越され、体つきも男の子らしくなってしまった彼。竜士もそうなのだが最近になって周りはみんな男の子らしくなっていく。まぁ、小猫さん以外だが…。


「エロ魔神とは失礼やなぁ?ゆりか限定や。」

余計に質が悪いわ。」

「そない冷たい事言わんと俺にも揉ませい!また大きくなるかもしれんよ?」

死ね。」

「ぷぎゃっ!」


回し蹴りを食らわせれば、廉造はバランスを崩して尻餅をつく。そんな彼にふんと鼻を鳴らす。女将さんはくすくす笑って、仕事があるからと中に入って行った。…女将さんこの状態で行くんですね…?


「そない変態発言ばっかしとうと竜士呼ぶえ。」

「ちょ、冗談や!冗談!せやから坊だけは呼ばんと!」


竜士は何でかよくうちの見方につく。だから廉造はいつも竜士にシメられる。それを止める小猫さんを見てるのが最近のうちのマイブーム。
…まぁ、そんな事はどうでもよくて。とりあえず、廉造に手を貸し立たせる。


「れーんーぞーっ!」

「げ、この声…!」


廉造が言葉を吐き出したと同時に廉造の背中に金兄が蹴りをかます。そのせいで、いま起こしたばかりなのにまたもや倒れる。…うちを巻き込んで…。


「!?」


まだ、手をつないでる状態だったからうちが押し倒されその上にまたいでいる廉造がいる状態になる。


「ちょ!?れ、んぞ!!」

「なんや、いい眺めやなぁ。」

「死ね。」


ニヤニヤする廉造の腹を殴る。ちょっとどきっとしたうちがばかでした…!金兄に立たされた廉造は舌打ちしていて。うちのパンチが痛くなかったことを示す。っち、もう少し強くやればよかった…!うちも金兄に立たせてもらう。


「すまんかった。」

「金兄が謝ることないけ。」


頬笑み言う。金兄も笑ってくれて。うちは文句を言ってやろうと廉造を見る。その時。廉造の後ろに大きな何か黒い物体が襲い掛かる。その瞬間自分の体が勝手に動いた。危険だと思った。廉造が危ないと思った。


「廉造危ない!」


体が叫んで、廉造を突き飛ばして。背中に激痛が走って。焼けるように痛くて。
うちは、何が起こったか分からないまま気を失った----。








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