ナミダノアト


□No.9
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「すまん。」


うちは竜士と廉造と三人で子猫さんの見舞いに来ていた。廉造は今、電話が何とかで席を外している。
そんな時、不意に竜士が謝った。
そうそう、結局あのあと竜士と仲直り?しました。


「なんを謝ってはるんです?」


不思議そうに子猫さんが首を傾げる。竜士は気まずそうに口を開く。


「いや…お前らが怪我したのは俺のせいやと…。」

「竜士だけが悪いんやないやん!ってか、うちも悪いし…。ごめん、子猫さん。」


竜士の言葉を聞いてうちも謝る。


「それはほんまにそうや。少しは自重してもらわんと僕ら身ぃもたんわ。」

「「堪忍!」」


竜士と声が被る。


「…そんな事よりも降魔剣の話…ほんまですか?」

「あぁ。間違いないわ。俺はちっさい頃から和尚にしつこく写真見せられてきたし。」

「奥村先生もはっきりおっしゃってはりましたしね。」

「ゆりか。…どう思う…?」

「どう言われても…。なんや話ついていけてへんし…。まぁ、竜士がどう思ってるか知らんけど。」

「俺は…。」

「こんな美人なお姉さんおるんやったら無茶でもアバラ折って入院したんになぁ。いつか絶対入院しますわ!」


病室の目の前から聞こえた不愉快な廉造の声。うちは自分が座っていた椅子を持ち上げ、廉造に向かって投げる。

"がんっ"


「いだっ!?」


ナーイス!ガッツポーズをするうちに竜士は溜息をつく。


「…ほんま、はようくっつけばええんに…。」

「?なんや?竜士、なんか言った?」


聞こえなかった竜士の言葉をもう一度聞こうと聞き返すがなんでもないと首を横にふられてしまった。


「?」

「イタいわ、ほんま!そない嫉妬せんでもええんに。」

「誰が嫉妬するか。」

「あぁ、そうや!大変や!正十字総合病院(ここの)ナースのクオリティハンパn」

「まだゆうか!」

「いたっ!?」


まだ変な事を言う廉造の頭をなぐる。


「って…竜士も子猫さんも顔染めんなや!」

「い、いや…。」

「そないことないです…!」

「…やなくて!ホントに大変なんや!」


いきなりキリッとなった顔つきにうちらはびっくりしながらも廉造を見る。


「和尚倒れたて…!」


廉造の言葉が病室に静かに響く。誰ひとり声を上げないで廉造を見る。


「…和尚が…?」


しばらくの沈黙ののち竜士の小さな呟きが沈黙を破る。


「…竜士、いかんと…。」

「…。」

「竜士!今、意地張っとる場合やないで!?」

「…。」


竜士はガンとして行くとは言わなかった。






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