桜散る

□いつか ver平助
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雪が降っている

はらはらと舞うように

一つの雪は地面に着くと赤く染まり

もう一つの雪は人肌に触れ溶ける



藤堂平助は顔や手、刀に足元に倒れている男の血をつけて肌寒い空の下に立っていた

ただただ

ぼんやりと・・・・・


さくさくさく

薄く降り積もった雪の上を足を早め進める音がする


「平助くん」


その足音の主はぼぅっとしている平助に声をかける


「・・・・・舞」


何処を見ているか分からない目で振り返る

そして

すぐに俯き視線を外す


「俺・・・・」

「大丈夫・・・・
分かってる」


そう言って

平助を優しく

壊れ物を扱うように優しく抱きしめる


「俺、おかしくなった
人間だったはずなのに
人間の血を飲まないといけない・・・・!
今だって・・・・・!
地面にはいつくばってでも血が飲みたい衝動に刈られてる・・・!
・・・・・もぅ、嫌だ」


舞にしがみつきながら悔しさを込めた声で平助は言う

舞は何も言わず、ただただ抱きしめる

そして

言った


「いつかさ
二人で何処かに暮らそうよ
ゆっくり、のんびり
そしたら
血が飲みたい衝動だって、今みたいに強くなくなるかもしれないよ?
だから
いつか・・・・・
二人で暮らそう?」


優しい声色の中に凛とした声

いつか

必ずという願いがこもっていた

平助は

力強く頷いた





いつかきっと
(ねぇ、平助くん
いつか、絶対
二人で幸せになろうね)







 

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