桜散る

□好き嫌い ver一
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いつも隣で座って食べる舞

いつもは笑顔なのに今日は不機嫌顔だ


「ねぇ
一くん」

「自分で食べろ」

「一くんの好物じゃん!」


そう言って、豆腐の入った皿を押し付けて来る


「だが、好き嫌いはいかん」

「一く〜ん
お願いしますよー」


はぁとため息をつくと豆腐の入った皿を受け取る


「わーい!
ありがとう、一くん!」


そう、満面の笑みで言う

俺は一瞬にして顔が赤く染まったのが自分でも分かった

俺はどうもこの笑顔に弱いらしい

優しく包み込んでくれそうな笑顔に


「一くん」

「なんだ」

「あの・・・・・
これ・・・・も」

「そんなに食べられん
自分で食え
好き嫌いばかりしてると身長が伸びないぞ」


舞ははっとしたように頭を押さえた

舞の悩みは身長が低い事だ

だから

いつもこれを言えば大抵のものは食べる


「・・・・・食べますー」


ほら

ちゃんと食べる


「いつか
一くんの身長、追い越してやるんだから」

「ほぅ
それは面白い
楽しみにしている」

「イラッ
絶対、越してやるんだから」


意地になる舞もかわいいのだった





好き嫌い

(あー、いつになったら一くんのこと追い越せるかな)
(舞が俺を越すなんてそんなの一生無理だろう)








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