あんけーとっ!
□商品
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その葉書型のアンケートが目に入ったのはたまたまだった。友達と某アニメグッズが売ってるお店の帰り道、中身を確認してるときに目に入った。
「アンケートだって。どうする?」
『えー?商品何がもらえるか分かんないんでしょ?なら、しなくてよくない?』
最初は書くのに乗る気じゃなかった。だって、好きなのとかアタんなかったら困るし。ってか、当選するかどうかも分からないのに…ねぇ?
「えー!いいじゃん、やろうよ!」
『…んー、そこまで言うなら…。』
この子、言ったらしつこいからなぁ。仕方ない。優しい私は君に付き合ってあげよう。
「あたし、ボールペン持ってるから駅ついたら書こう!」
『はいはい…。』
そのあとは普通に他愛もない話をした。
あの声優さんがカッコいいとか、あのキャラは自分の嫁、とか。周りからしたら何こいつらってなるかもだけど…。
駅について切符を買い、待合室で待っていた時おもむろに友人の手によってうちの濃い青の袋から取りだされたアンケート。
「あんた、忘れたふりするからさっさと書いちゃおう!」
『ちっ、ばれたか…。もー、しょうがないなぁ…。』
私は差しだされたボールペンを手に取り質問に答えていく。
…何々、行きたいところ?
んー、薄桜鬼の世界?よし、これで行こう。
「ちょ、何書いてんの!まじめに答えなよ!」
『え、ちょー真面目に書いてんだけど。』
「…うん、ゆずははそういう奴だったね。ごめん、あたしが間違ってたよ。」
ふむ、次は"いま、会いたい人は誰ですか?"
何を分かり切ったことを。藤堂平助に決まってんじゃん。
「…マジでそれ出すの?」
『え?出すけど?』
「イタイワー。」
『褒め言葉。』
「いや、うん、もういいや。」
電車が来る。人はほとんどいなくて簡単にボックス席に座れた。座るなり友達は続きを書き始める。
何をそんな書くことがあんだか…。そんな友達にため息をつき、背もたれに身を沈め携帯をいじる。
メールが三件来ていた。二件はニヤニヤ動画の生放送の通知。もう一件は友達から。
"今、何処?"
私は今、電車という鉄の塊の中にいます。
「オワタ―!!」
『見せて、見せて。』
覗き込もうとすると顔を押される。首はぐぎりと鈍い音を当ててそっぽを向く。
…イタい…。
「やだ。」
『ちょっと、人の見てそれは無いでしょ。』
首を治し、顔をしかめる。
「嫌だ。」
『もう、いい。興が失せた。』
「ちー様ー。」
『ドヤ』
「どやじゃねぇよ。」
ドヤって言ったら殴られました。
え?理不尽すぎね?まぁ、殴られ慣れてるけど。あ、それもそれでダメか…。
「そういやさ、」
『なんぞ?』
「彼氏出来た。」
『はい、リア充爆発しろー。』
そのまま横に倒れる。あ、スカートの中見えた。
私の視線に気づいたのかスカートを抑える友達に舌打ちをすれば、サイッテーと言われたが気にしない。
『あーあ、みんなしてリア充とかないわー。』
「あはは。ゆずはもそのうち出来るよ。」
『いらん。』
「おい、こら、お前、言ってることが違うぞ。」
『気にしたら負けだぞッ☆』
「うざい。ってか、無表情で言うな。」
『ギャっす。』
またまた殴られました。え、何?なんか殴られまくってね?私、別にМじゃないよ?
「ほら、ついたよ。」
最寄り駅に着いたので急いで降りる。
あっぶな。降りた瞬間ドア閉まりましたけど。
そのまま友達と別れた。友達がアンケートを出してくれるらしくてそれを渡す。
自分のが当たるか当たらないかは興味がないけど、どうかお願いです。友達のは当てて下さい。あの子、うるさいから。
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