あんけーとっ!

□結局
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あのあと、手足を縄で縛られた。身動き出来ないので、芋虫で移動。
肘がイタい。それに制服のままだからパンツ見えるんだよね。…んー、まぁいいか。サービスってことで。
…あれ?ってか、私、リュックどこやったっけ…。あんなかにいろいろ入ってんだよなぁ…。平助のところかな…。


「…入るぞ。」

『んー…。』


襖に背を向けたまま返事をすると土方さんが入ってきたのが気配で分かった。


「っ!お、お前っ…!」

『?』


振り向けば顔を真っ赤にした土方さんが私を指差していた。


『何ですか。』

「お、おま、おま、お前!」

『声裏返ってますよ。はっきり言ってキモいです。』

「ゆずはちゃん、中見えてるよ。」


総司くんがにこにこして言う。あ、サービスしたままだったのか。


『あぁ、すみません。手足縛られてると芋虫の状態でしか移動できなくて。気にしないで下さい。』


土方さんは相変わらず顔を真っ赤にしたままだった。…意外に初なのね。


「こ、こほんっ。お前の処分を言い渡す。…お前には悪いが…、」

『処刑ですか。』

「…。」

「そういう事だね。役に立つなら残す価値はあるけど、役に立ちそうにないからね。」

『あぁ、気にしないで下さい。そのかわり、土方さんの子孫を未来永劫呪います。』

「無表情で言うな!怖ぇから!」

『何言ってるんですか。笑ってるじゃないですか。』

「何処が!?」


もー、疲れちゃった…。ごろんと横になる。


「おい、話は途中だ。」

『このままでいいですか。疲れた。』

「…。明日の午後だ。」

『了解しましたー。』

「…。」

『まだなにか?』


いつまでたっても部屋を出て行かない土方さんに顔だけ向ける。総司くんはいつの間にかいなくなってて、土方さんだけが立っていた。
土方さんが何も言わないで私の横に座る。


『どうしたの?』

「お前は今までどんな生活を送ってきたんだ…?その歳で死ぬと分かったら少しは取り乱すはずだろ?」

『処刑するって言った人が何言ってるんですか。』

「俺は…」

『ほら、鬼の副長が何言ってるんですか。そんなんだと新撰組の皆がどっか行っちゃいますよ。』


見たことのない土方さんに戸惑う。…こんな弱い土方さん、土方さんじゃないよ。


「…。悪い。」

『気にしないでください。最初から期待なんてしてませんでしたから。』

「…、」

『大丈夫です。私はこう見えても強いですから。』

「…」


まだ変な顔してる…。
口を開こうとした時、


「副長。」


一くんが呼びに来た。土方さんの顔がいつもの表情になる。


「今、行く。」

『がんばってくださいねぇ。』


土方さんは一回辛そうにこっちを見て出って行った。
一くんが襖を閉めてそのすぐ横に座ったのが陰で見える。…監視か。
ふぅ、と息を吐いて横になっていると睡魔くんがこんにちわをしてきた。
私はその睡魔くんに挨拶をして彼にすべてを預けた。





((…辛そうな表情をした土方さんは…あの人の表情にそっくりだった…。))
(…。)





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