なめんじゃねぇ!

□過去の事は過去!だから、気にしないの!
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店を出て30分くらい歩いた場所


「此処だよ」


着いたのは道路


道の隅には花が添えられている


「ここは・・・・?」

「・・・・うちの大切な人が死んだ場所」

「え?」

「此処で死んだの
叔父さんが
ひき逃げだった
叔父さんを轢いた人はまだ捕まってない」


美樹の肩が小刻みに震える


「美樹・・・・」


「あぁ!
なんか、ごめんね〜?
こっちに来たばっかでいろいろ疲れてるのに
早く家に帰ろっか」

「・・・・いや
ちゃんと挨拶しな」

「え・・・・?」

「大切な人なんだろ?
なら、ちゃんと挨拶くらいしろ」

「静雄・・・・
ありがとぅ」


美樹は静雄に笑顔を向ける

静雄は顔を赤く染め明後日の方向を向く


「おぅ」


美樹は花が添えられている傍にしゃがみ手を合わせる


『叔父さん
今年でもう二年だね
うちは頑張ってるよ
それでね、今日アニメのキャラクターがこっちの世界に来たの!
どう思う?
有り得ない事なんだけど、ホントの事なんだ!
叔父さんにはホントの事を話しとくね
叔父さんなら、信じてくれそうだし・・・・
静雄も疲れてるだろうし、また今度来るよ
じゃぁね』


美樹はごめんね、と静雄に言う


「別に・・・・
何話してたんだ?」

「あ、気になる?
気になっちゃう系!?」

「ばっ!
別に気になんかしてねーよ!」

「つまんないの〜」


辺りは暗くなり始めている

早く帰らないと怒られると足早にそこを後にした


「ねぇ
静雄って結局セルティーの事好きなの?」


電車の中美樹の直球過ぎる質問に飲みかけのコーヒーを床に撒き散らす

イタいほど集まる視線


「ちょ、静雄汚い」


美樹はティッシュを出すと床を拭いた

汚くしたら綺麗にする、これがポリシーですから


「な、なんだよ
いきなり」

「いや〜
なんか、小説読んでるとなんかぽいなーって」

「好きなわけねーだろ
そりゃぁ、友達としては好きだけどよ
恋愛感情だったら新羅に何されるか・・・・
考えただけでも悍ましいぜ」

「・・・・ははυ
新羅なら有りそう・・・υ」

「ところでよ
これ、何だ?」


そう言う静雄の手にはお饅頭の箱


「あ、それ?
お母さんが大好きなお饅頭だよ
あっちに行くと毎回買ってきてって煩いから」

「自分で行きゃーいいのにな」

「・・・・静雄」


急に真面目な顔をして静雄と向かい合う


「お母さんの前では叔父さんの話しはしないで」

「な、なんでだよ」

「・・・・お母さん、叔父さんと喧嘩したの
叔父さんが亡くなる夜に
・・・・それで、叔父さん家を飛び出して行っちゃって・・・・
そのまま・・・・」


美樹は泣きそうな表情を浮かべる


「お母さん、叔父さんと喧嘩しなければって・・・・
家に無理矢理にでも居させればって・・・・
叔父さんが亡くなったの、自分のせいだっていっつも責めてるの
そのせいでお母さん、一回もあそこに足を運んだことがない
お母さんの前では絶対に禁止
分かった?」

「・・・・あぁ」


静雄は静かに頷く


「あー
今日のご飯何だろうね!?
パスタかな!?
それともラーメン!?」

「何で全部麺類なんだよ」

「だーって今、麺類が食べたいんだもん
それに今日は麺類の日だもん

「そんなのが決まってるのか・・・・」

「そうだよ!
麺類は崎村家にとって大切なメインイベントなんだから!」

「そ、そうなのか」


後々聞かされる事になるのだが、そう思っているのは美樹だけであり

別にメインイベントでもなんでもないらしい・・・・


「さーて、帰りましょうかうちらの愛の巣に!!!」

「愛の巣ってお前なぁυ
新羅みたいな事言ってんじゃねー」


静雄は最初こそ嫌だった恋愛系のネタが今、それ程嫌ではなかったのに気づく


『・・・・なんだ
この感じ・・・・』


そして、静雄はまだ知らない

自分の心の中の中にあるこの感情の名前を・・・・






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