平助×千鶴

□エピソード五『風邪と簪と』
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「けほっ・・・」



「大丈夫か?千鶴」



「うん、平気だよ」



布団から顔を出す千鶴の顔は、すごく赤くて汗も伝っていた。
額に手をあてると熱が伝わる。
千鶴は口に手をあて、せきを何度も繰り返す。
そう、千鶴は風邪にかかってしまったのだ。


桶の手ぬぐいを絞ってから千鶴の額へ乗せる。



「今日はゆっくり休めな」



「うん、ありがとう」



千鶴は言いながら微笑んだ。
オレも同じように微笑んでから千鶴の手を握った。




「眠るまで繋いでてやるから。安心しろ。 ホラ、おやすみ」



「ふふ、・・・・おやすみ平助君」



笑いながら千鶴はゆっくり瞳を閉じた。
しばらくして、規則正しい寝息が聞こえはじめた。



寝顔、・・・・可愛い。
そっとあいてる方の手で頬を撫でる。




「はやく良くなって、美味い飯作ってくれな。――千鶴」



そう呟いてから、オレは静かに口付けを落とした。
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