平助×千鶴

□エピソード六『町娘と隊士』
2ページ/3ページ

近くの茶屋まで行き、お団子とお茶を頼む。
――しばらくして、注文したものが来た。




「わ、ココのお団子おいしいね!」



「でしょう!お茶と一緒に食べると、もっと美味しいよ」




お千ちゃんの言われたとおりに、お茶と一緒に食べると・・・・





「お茶の苦味とお団子の甘さがすごく合うね!」




お団子を口にほうばりながら、お千ちゃんに笑顔を向けた。
彼女は「でしょうっ!」と言って嬉しそうに笑った。


しばらくの間、二人で他愛もない話をしていると、お千ちゃんが辺りをチラチラ見始めた。


・・・・どうしたんだろう??



不思議に思い、お千ちゃんの視線のある方を見てみると・・・・
そこには可愛らしい着物や簪などが売られているお店があった。



・・・・・あぁ、・・・そういうことか。




「お千ちゃん」



「ん?なあに?千鶴ちゃん」



「私は此処で待ってるから、お店回ってきていいよ?」



「え、いいの?・・・・でも・・・」



「平気だよ、気にしないで?」




お千ちゃんは迷いながらも、笑顔を浮かべて




「ありがとう!すぐ戻るからね」



「うん、行ってらっしゃい」




駆け足でお店に向かっていった。





・・・・もう一個お団子でも頼もうかな・・・



私はそう思って近くにいる店員さんに声を掛けた。
その時、




「そこの娘。暇なら我等に酌をしてくれぬか?」




店員にガラの悪い浪士たちが話しかけた。
私はその様子を横目で見ながら、耳を済ませた。




「ここでは酌は禁止されて・・・・」



「なにを言っておるのだ。我等は汗水たらして京の治安を守っているのだぞ!」



「いいから、我等の相手をしろ!」



「・・・・・でも、」




浪士たちの意見に賛同しない店員に腹を立てたなのか、彼らは腰の刀に手をかけた。




「ならば、・・・・仕方ない」




浪士の一人がニヤリと笑みを浮かべた。
その笑みで店員の顔は青ざめた。
近くに居た私にもぞっとするような笑みは、やがて不機嫌な顔へ・・・・・・




これは、






―――あぶないっ!!






「なんだ貴様は?!」





私は思わず浪士の前に飛び出してしまった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ