空想パラドックス

□Crying Tower(泣き虫の城)
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豆電球にした
仄暗い部屋のうえ

耳には遮断する雑音
iPod
奏でる音楽は指の背を噛みたくなる
そっと両手で顔を覆う


寝所に開かれた活字
胸が切り付けられる様だ

ぎゅうっ


締め付けられる心臓の奥
歯ざわりの良い爪を噛み締める
感覚
その次には痛みが走る


本棚に納まりきらずに
床に積み上がる活字
活字活字活字
気付けば寝所の上も占拠された

読めば読むだけ
広がる知識と世界
おかしいな?
気付けば寝所の上は大洪水



何度も読むよ 何度も泣くよ
あれあれ?

気付いたら
部屋の出口はどこだろう
気付いたら
部屋の天井はどこだろう
今は何時?
何で埋もれているんだろう

楽しい話しよりも
悲しい話が大好きで
暖かい布団の中で
涙に濡れた枕を抱えて
ひとりぼっちと
少しの幸福を捕まえて
深く浅い眠りに就くのが大好きだ



乾いた枕と冷たい布団
が不思議で堪らなかった
こんなにも
たくさんの活字に囲まれているのに








ねぇ
泣きたいときは
どんな本を読めば良かった?

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