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□愛してる…だから
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愛してる…


愛してるわ…誰よりも。


だから私は……。




『愛してる…だから』





雪がつもり、肌寒さが更に増す夜



あやめは片足を引きずり、雪に紅

い花を咲かせながら歩いていた。

あやめは珍しく、仕事で暴れた。

ターゲットとしていたのは、あや

めの愛する坂田銀時を暗殺しよう

としていたグループだった。

前々から銀時は高杉の件や吉原の

ことで名が知れ渡り、裏の世界で

は“邪魔な存在”になっていた。

それを知っていたあやめは相手を

見た瞬間、本能のままにがむしゃ

らに切っていった。

そのため自分もやられ、背中は大

きく切られた。



―これは自分のため…銀さんを守

りたい…―



後ろから三人ぼと走ってきたのが

わかった。

きっと奴らの追っ手。

あやめは潔くクナイと短刀を握り

、構えた。

三人はあやめを囲い、襲い掛かっ

た。

あやめが二人を切る掛かったが、

遠くの方で声がした。

あやめは一瞬そっちに気を取られ

ると、グサッと音がした。

あやめの後ろには最後の一人。

そして、その最後の一人の手に握

る刀の先はあやめの腹部を貫いて

いた。





「さっちゃああぁぁんっ!。」





聞き覚えのある声が近くから聞こ

えた。

ゆっくりと刀を抜かれ、静かにあ

やめは倒れた。

そこへ走ってくる足音。

そしてあやめを刺した男目掛けて

落ちていた刀を拾い切り掛かった。

男は声を濁らせ倒れた。





「さっちゃんっ!。おいっ!しっか

りしろっ!。」





抱き抱えられ、名を呼ばれる。

あやめには視界がぼやけて誰だか

は、はっきりとわからなかった。

でも、その声と髪の色。

一人しか浮かばない。





「銀……さ…。」





愛おしく想う人の名を呼び、そこ

であやめの意識は途絶えた。





「さっちゃん…頼む。死ぬなっ。」





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