小説

□1話:出発
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***

一番道路から次の町、カラクサタウンまでは一本道でそれほどカノコタウンから遠い場所ではない。
ベルとチェレンはさっさと行ってしまった。
「薄情よねー。さっさと行っちゃってさー。」
ガサガサと草むらを掻き分けて進んでいく。
肩にミジュマルがぶら下がっている。
さっきから野生のポケモンとバトルを繰り返してるけど、この子は強い!
まだまだピンピンしている。ヨーテリーやミネズミなんてメじゃない!
「ミジュは強いなー」
うりゃうりゃ、とミジュのほっぺをぷにぷにする。ミジュはくすぐったそうだ。

がしっ

足首を掴まれた。
血の気が引く。
此処は人気のない草むら。
何だか薄暗いようにも・・・
「ぅあ・・・ぁ・・・」
「ひッ」
「・・・・め・・・・・」
「ぎゃああああああああああああッッッッッ!!!!!!!」
「・・・・メシ・・・っ・・・」
「ミジュマル、たいあたりいいいいいぃぃぃッッッ!!!」
ミジュマルはその通りにした。


「ごめんなさいっ!」
がつがつがつがつ。
「吃驚して・・・」
がつがつがつがつ。
「ねえ聞いてる?」
がつがつがつがつ。
「ねえってば!」
がつがつがつがつ。
「ん?」
やっと顔を上げたか。
彼は帽子を被っていて明るい茶髪に同色の瞳が印象的だ。
(他意なく)キレイな顔をしているが、今は弁当をがっついている。
「欲しいのか?」
「違う。」
というかそれは私の弁当だし。
もう無いし。
「で、キミはあんなところで地面に寝転がって何をしていたの。」
「行き倒れていたんだ。」
「はあ?」
「カノコタウンを出て早3日。一向にカラクサタウンに行き着かない。カノコタウンにも戻れない。食料も尽きた。」
????
頭の中が疑問符でいっぱいになった。
カノコタウンからカラクサタウンまでは1本道。
それほど距離があるわけではない。
「なんで?」
「さあ?あ、ごちそうさま。美味しかったよ。」
「はあ。お粗末様で・・・って何処行くの!?」
「は?カラクサタウンに。」
と草むらを掻き分けていこうとする。
「ちょっと、そっち違うよ!そっちはカノコだよ!!」
「へ?じゃあ、こっち?」
「・・・そっちは行き止まりだよ。」
「・・・」
「カラクサタウンまで一緒に行かない?」
「・・・構わないよ。」
ああ、そうかこの人はあれだ。

方向音痴。
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