電王
□嫌いじゃない
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ここはいつものデンライナー
そしていつもと変わらない日常
「ハナさん、僕に釣られてみない?」
「………」
無言でウラを睨むハナさん
「ヤダなぁ冗談だって。だからその右手の握り拳下ろしてくれる?」
「毎日毎日よく飽きねぇよな」
コーヒーを飲んでくつろいでいたモモが口を挟んだ
「先輩も少しは女の子の扱い学んだ方がいいよ?なんなら教えてあげようか?女の子はね、優しくするのが…」
「いらねぇ」
「釣れないなぁ。ま、先輩が真剣に聞いてくれても気味が悪いだけだけどね?」
「んだとこの亀!!」
いつものように喧嘩が始まろうとしていたその時
「はぁーい!!こっちがウラタロスちゃんのコーヒーで、こっちがモモタロちゃんのプリンでーす!!」
ちょうどナオミちゃんが入ってきて、おさまった
「お!!やっと来たか!!」
「ナオミちゃんいつもありがとね、お礼に今度僕と…」
「ごゆっくりー!」
「うーん、釣れないねぇ」
そう言ってウラはコーヒーを持って私の前に座ってきた
「ここの人ってなかなか釣れないんだよねぇ、キノちゃんどう思う?」
いつもの風景
いつもの日常
さっきから見ていた私だけど
実は結構イライラしていて…
『いつも、いつも…』
私はとうとう…
「ん?なんて?」
『いつもいつも女の人とばっかりいて!!外じゃ飽きたらずハナさん達にまで手を出そうとするなんて最低!!この女たらしのエロ亀!!少しは頭冷やしたらどう!?』
爆発してしまった…
「え…?」
「キノちゃん…?」
「キノ…?」
「…ぶはっ!」
デンライナーの中が一気に静まり返った
いつもはウラの話し相手をする私なのに、初めて怒鳴ったものだからみんな驚いて固まってしまっている
モモは何が面白いのか吹き出したけれど気にしない
『………ふん』
怒りが収まらない私は自分の部屋へと向かった
「あいつも言うようになったなぁ…。エロ亀!だってよ?」
「ウラタロス、あんた…」
「僕…嫌われた?」
自室で私はベッドに寝転んでいた
毎日、女女女…あいつは女の事しか頭にないの…!?
ほんと最低な奴!
何が女の子の扱いだ!
何にもわかってない!
あぁもう言い出したらキリがない…
今日はもう寝よう!
そう思い、私は布団を被った
女たらしなんか…大っ嫌い…!
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