短編集
□季節シリーズ *秋*文化祭編
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※『季節シリーズ *秋*文化祭準備編』の続きです。
ー午前ー
美鶴と宵沙と橙南は、午前を担当となった。
するのは、もちろん接客だ。
「で、でも……。
接客だからって……ど、どうして?」
橙南は、泣きそうな、ってかもう半泣き状態だった。
そして、何故かムダに興奮しているクラスメートに叫んだ。
「どうして、僕、女の子の格好なのっっ!!」
うりゅうりゅ、とした瞳で、ぬいぐるみを抱きしめる姿はもうサイコー……じゃなくて、可愛らしいもので、クラスメートの何人かは倒れた。手で鼻を押さえている人も何人かいる。
美鶴も、その様子に、(…可愛い)と思った。女の子ですから。
そんな中、ホッと息をつく人を見つけた。
「宵沙くん、どうしたの?」
「……………よかった」
宵沙は、普通の執事服だった。
心底安心したようすに、美鶴は少し苦笑した。
「………(でも、宵沙くんの女の子の格好、少し見てみたい…かも)」
と、美鶴が苦笑しながらも思ったのは内緒だが、
そんな美鶴を宵沙は、じとっ、と恨めしそうにみた。
「……………何か変なこと考えなかった?」
「……(す、鋭い)」
宵沙の鋭い指摘に、
美鶴は誤魔化すように笑った。
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