短編

□僕の目の届く範囲にいてくれ
1ページ/3ページ

太陽が痛いほど眩しい夏


「暑い・・・」


暑いのが苦手な僕がこうして外に出ているのには理由があった

それは


『こっよみー!!』


目の前にいるこの幼なじみのせいだ


『やっほー
 暦♪』


僕の幼なじみははっきり言って子供だ


「どこ上ってんだよ!!」


目を離すとすぐ駆けていく


『ん?
 木の上?』


どこまでもどこまでも
走って走って走って

すぐ僕の目の前からいなくなってしまう


「何してんだよ」


だからと言って、別に火憐ちゃんや月火ちゃんのように問題を起こすわけではない
こいつに迷惑かけられるのはいつでも僕ばっかりだ

僕、だけだ

今日も火憐ちゃんや月火ちゃんに美麗がいなくなったと騒がれ、こうして探しに来た

にも関わらずこいつは


『だって夏だよ?
 だったら木に上んなきゃ!!』


と、意味がわからない言葉を放ち笑っている
相変わらず不思議な奴だ


『ていうかね
 下りれなくなっちゃった?』


てへ
と笑う目の前の幼なじみに少しいらつきながらも


「ほら、こい」
『うん!!』


両手を広げて受け止める準備をしている僕は
お人よしなのだろうか?


『ありがとう!!
 暦!』
「はあ・・・」





僕の目の届く範囲にいてくれ





何だかんだ言って
僕はこいつが大事なのかもしれない



END
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ