イヤホンとアイスとヘッドホンと猫

□プロローグ
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私は、
どこにでもいる、ただの平凡で善良なパンピー女子高生。

毎日同じ時間に同じことして、学校行って、帰って来て、飯食って、寝る。

ただそれだけの毎日に、不満なんてもんはなかった。
多少のつまらなさを感じながらも、それなりに満喫してたと思う。












やのに、



神様とやらは、時にドSを発揮する。
快適な毎日を送るパンピー女子に、最高に面倒臭いモンをくれやがった。







「レイちゃん!桃ちゃん!明後日部活休みなんだけど、どこか行かない?」

「あ!それなら私、駅前のクレープ屋がいい!」

「冷っち行くなら俺も行きたいッス!」

「俺も行きた〜い」

「ダメダメ!女子会だから!男子禁制!」

「えぇ〜」

「女の子のお茶会に男が入るのは野暮ってモンだよ、敦」

「……」







そう、コイツら。

コイツらが、私の平々凡々な快適ライフに終止符を打った。
…いや、いつの間にか打たれてた。

気が付いた時にはどこぞの学園ドラマ宜しく、周りは既に愉快な変人共で溢れてた。

…………何や勝手に行く事になっとるし。
ふざけんなコラ、私の尊厳は?え?そんなモンは無いってか。
つーか何やねん女子会って、私心は少年ジャンプやから帰ってエエか。







「お前の体の何処に、女要素があるってんだ?」

「コロス」

「わああ!!待って待って茶奈ちゃん!ソレはダメだよ!」

「おい!俺のラッキーアイテムを返せ」

「離して桃ちゃん!やっぱコイツだけは許さない!!
 女の子ならいざ知らず、こんな脳ミソ超絶バカ峰に言われる筋合い無い!」

「おいコラ、誰がバカだ!この絶壁チビ女!」

「ちょっと!大ちゃん!!」

「落ち着くッス!青峰っち!」

「お前も絶壁だろーがぁあ!!
 殺る!絶対に殺ってやる!離して桃ちゃん!私はコイツのデコに肉って書いてやるんだから!!」

「カッターで?!」

「ちょっ?!門紅っち危ないッス!カッター振り回さないで!」

「その身長でやれるモンならなぁ?」

「死ねええ!!」

「オイ門紅!そんなことをすれば俺のカッターが穢れるのだよ!!」

「緑間テメー穢れるってなんだ!!」








あーもう煩いわぁ。
そもそも、何でコイツらウチの教室来てんねん。

面倒臭いわぁ。






「だぁかぁらぁ〜、来んなっつってんだろがあ!」

「そうだよ!最初に私達が約束したんだから!」

「二人占めは良くないッス!」

「そーだよー」







とゆーか、そもそもの原因は何やったか…。
そんな事は、とうの昔に忘れたかったわ。いやホンマに。

…何かいつの間にか桃井ちゃんも参加して女子vs男子みたいになっとるし…。
つーか、紅茶は青峰との殺シアムは終わったんか?
……あぁ、御愁傷様やな青峰。
南無阿弥陀仏(笑)







「上等じゃワレェ!テメーら全員ミンチじゃボケ!!」

「今日という今日はしっかり決着着けるんだから!」

「そーだコラ!いっつも私達のスイートタイム邪魔しやがって!筋モン舐めてんじゃねーぞ!!」

「それはコッチの台詞ッス!」

「サクサク》そーだそーだー」←棒読み

「ハッ!女子供が俺達に勝てるとでも思ってんのかよ?」←復活

「誰が子供だコルァ!カガミン!審判お願い!!」

「はあ?!何で俺が…つか何の審判だよ!?」

「正々堂々勝負じゃワレ!!」

「聞けよ!!」






《世間は狭い》《人生、何が起こるかわからない》
昔、母さんと婆ちゃんが言っていた。
本当にそうやと思う。
そしてこれらが《運》や《神様の計らい》によって起こっている、なんて事ことも二人は言っていた。

…先に言っとくけど、私の家族は断じて宗教とかちゃうから。
そういう思考がちょっとだけあるだけで、
宗教ちゃう、絶対。


まぁ、話を戻すと
自分の環境なんて、ほんの些細な切欠で変わりうるものらしい。
だが、私はそんな神サンに少しお聞きしたい事がある。
例えばや、例えばの話で。


例えば、一応小三から同じ学校に通っとる金持ち可愛子ちゃんとか。

何かスッゲー影が薄いらしい、中々天使的な無表情男子とか。


例えば、実は私より馬鹿やったガングロ変態馬鹿とか。

スタイル抜群な美少女ちゃんとか。

例えば、変人ミドミドおは朝信者とか。

見るからにオツムの悪いデルモ駄犬とか。

例えば、金持ち可愛子ちゃんの親戚らしい巨人級の妖精とか。

俺様絶対主義者のオヤコロズガタカチート(うわ、カタカナばっか)とか。



もし、コイツらとの出会いが神様サンの粋な計らいと言うやつならば…
私は全力で叫ぶ。




なんちゅーことしてくれとんじゃ!!







全然粋でも何でも無いわ!
変人ばっかやんけ!
しかも全員、無駄に顔面偏差値高いってどういうことやねん畜生!
そんなオプション要らへんし!
オプション付けるなら私を男にして永久モテ期に……やっぱエエわ。







「調子乗ってられんのも今のウチじゃワレ!!一生者場の空気を吸えなくしてやるよ!!
 こちとら今朝のおは朝宜しく、最強の男がいるんだよ!」

「行けぇ!ミドリン!」

「意味がわからないのだよ!!」

「お前じゃねーのかよ?!」

「やだなーカガミン、あんな野獣共にか弱い乙女達が何を出来るって言うのさ」

「(少なくともお前はか弱くねぇ…)」









まぁ、神様の所為なら文句の10や20は軽く出てくるもんやけど…
生憎私には、そんな思いも無ければ証拠も無い。
よって、全面的に神サンに容疑をかけることはできへんわけで。







「くっ!緑間か」

「ちょっ!今日の蟹座一位なんスけど!?そっちズルくないッスか!?」

「先手必勝だよ、きーちゃん」

「戦略で私達に勝とうなんて十年早いわ!」







まぁ、全部が全部人?の所為にするのは良くない訳で。






「ッチ!仕方ねぇ、最終手段だ!やるぞ黄瀬ぇ!」

「はいッス!」







かと言って、勿論私の所為でも無い訳で。







「「行けぇ!火神!/火神っち!」」

「だから何でだよ!!」

「オイ火神!それ以上俺に近づくな!!今日の獅子座とは相性最悪なのだよ!」







たとえ私が悪い部分があるとしても、全部が全部じゃない。
こういうのは芋づる式や。
一つの事に関わると、あっちゅう間に色んな所に枝分かれして行く。
だから、そこに私が知らず内に、無意識に、多少、関わっていたとしても
それは致し方無いことやろ。







「どうかしたか?レイ」

「気分でも悪いんですか?」

「お菓子食べるー?」







…まぁ、色々御託を並べたけど
結局なにが言いたいのかというとや…







『…私のバカヤロー』







これもこれで、まぁ、悪くない。

心の奥底で、そう思ってしまっとるということや。




 

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