イヤホンとアイスとヘッドホンと猫
□【い〜ち】気がつくと絡まってる。
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春。
長くもあり短くもあった受験戦争を乗り越え、無事志望校の入学式に出席して三日。
桜の花も終わりを迎えてきた今日この頃、
相も変わらずいつもの時間にマンションを出た。
つーかごっつ眠いんやけど。
ダルいわぁ、学校。
「おはよっレイちゃん!」
マンション前、おなじみの顔。
飽きもせず毎日笑顔で迎えてくるチンチクリン幼馴染(仮)。
あだ名コウチャこと門紅茶奈 «カドアカ サナ»。
なんやかや、つるむようなって七年…アレ、六年……。
まぁ、どーでもエエやろそんなん。
「はよ…」挨拶を返し、チャリンコを駐輪場から引っ張り出して、二人分の荷物を籠に入れる。
暖かい日差しに、自然と出る欠伸。
口を覆った手でそのまま目尻を拭った。
「良い天気ですな〜」「…春ですからなぁ」
いつものしょーもない会話と、昨年とは違う道のり。
クソめんどい最後の三年間を消化するため、高校生活三日目が幕を開けた。
「そういえば昨日の帰りね、学校近くのコンビニであのアイス見つけたよ!」
「マジか」
キタコレ。
早う終わらんかな学校。
隕石でも落ちればエエのに…。