銀色の二人

「銀兄には、誰かの下で働くのは向いていないと思いますよ?」



「あ〜、俺もそう思う」



「それに、なんだかんだ色んなことに顔を突っ込んでしまうんですから、
その職のルールがある所もあまり向いていないでしょうね…」



「え、なに、俺働くこと自体向いてねーの?無理ゲーじゃん」



「いえ、そうでもありませんよ。
これなら、向いているかもしれません」



「よろずや?」




「はい。ただし、なんでも『売る店』ではなく、なんでも『する店』です。
家事・手伝い・人探しから護衛までなんでも御座れ、報酬さえ頂ければなんでもアリのシンプルなルールです」



「おぉ、結構良いなそれ」



「銀兄の腕っ節と器用さがあればある程度の事は出来るはずです。どうですか?」



「やるわ」



「ふふ。では、手続きは私がしておきますね」








「『万事屋 銀ちゃん』って、まんまじゃねーか…」

「素敵でしょう?親しみやすくて。ねぇ?お登勢さん」

「そーさねぇ…お近づきになりたくない如何わしいコイツをフォローするには良い名前だね」

「おいババア、誰が如何わしいって?」

「でもコイツを見たら客も踵を返すかもしれないよ、本当に大丈夫かい?」

「おいババア、てめーいい加減にしろよ」

「暫くの間は私も一応副社長として、銀兄と一緒に働きますので、お客様の対応は基本私がします。
銀兄は今日から寡黙な仕事人ですから大丈夫です!蓋すれば誰も気付きません!」

「ねぇソラちゃん蓋ってなに?まさか俺『臭いものに蓋をする』臭いもの?」

「そうかい、それなら安心だね」

「ババア!!てめーはさっきから何なんだよ!!」

「さぁ銀兄、開店初日ですよ?張り切っていきましょうね!」

「もう無理だァァやってける気しねぇ!!」






〜第一章〜

『行雲流水な男とその妹』

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