箱庭の明かり

□箱庭の予兆
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「明ー。」


誰かが、誰かと手を繋ぎ歩く。


「おかあさん。どこいくの?」


「ーー。

パパの、所よ、」



「パパ?」



「そう、パパの所に行くの。

だからね、少しも寂しくないわ」




「うん?」

首を傾げる。

その人は手を強く握った。

 

「っー。
明。これから何があってもね。

あなたはあなたよ。
何かあってもね、

あなたが正しい事が必ずある。

だから、絶対に諦めちゃ駄目よ。
ずっと自分を持って、自分を信じてね」


「おかあ、さん?」


「だからね。

絶対に大丈夫。
明は必ず正しいもの」


「?」


その人はかがみ、視線を合わせる。


「必ず。必ず迎えに来るから。
どんなにかかっても。
どんなに離れても。


たとえ、あなたが私をーー。



ううん。

だからちょっとお父さんの所で待っててね」





「うん。まってる。」


笑顔で頷く。



「うん。待ってて。
っーー」

彼女は頭を撫でると、抱き締めた。

「明っー。

ごめんねっー」




「おかあさん?」




この暖かさを。







知ってる?
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