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□名前
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「そういえば。青木ってなんで良平って名前なんだ?」
佐倉の部屋に行ってご飯を食べた後、二人で洗い物をしていたら、ふとそんな事を聞かれた。
「なんで良平なのかって聞かれてもな。親が付けたからだろ」
洗い物を拭きながら俺が答える。
「いや、そういうことじゃなくてな。双子だしそれぞれに似た意味あるのかと思ってな」
洗い物を佐倉から受け取り拭く。
「ああ、名前の由来な。うーん。そういえば前聞いた気がする。
たしか家の家紋の何かが龍で、それで龍から名前をとって龍平。俺はその龍平の良き理解者となるようにって良平。だった気がする」
思い出しているうちに情景も思い出した。
「そうなのか。じゃあ良平の平はどっからきたんだ?」
何故そんなに俺の名前に興味あるんだろう。
若干不思議に思いながらも一応答える。
「うーん。何事も公平に、の平だって聞いた気がする。
それも言ったの家政婦だったから本当か分からないけど」
「ほお、じゃあ、良平にも良平と言うなの理由が沢山入っているわけだな」
何故か佐倉がうんうん言い出す。
「いや、別に俺はそんな意味ないけど。てかさっきからどうしたの?てかなんで俺の名前そんな知りたいの?」
疑問に思いやっぱり聞いてみる。
「別に好きな奴のことはなんでも知りたいのだろ」
さらりと言う。
しかもこういう時だけ俺の顔を見るな。
「へえ、じゃあ、佐倉は?なんで大輔なんだ?」
適当に流し話を変える。
「俺か?俺は・・・。特に意味ない」
「はぁ?少しぐらい意味あるだろ」
平然と言う佐倉に問いただす。
何故こんなにムキになるのか、それは多分なんか悔しいからだ。
「そう言われてもなぁ、母親は俺を見た瞬間大輔だって思ったらしい」
佐倉はやっぱり平然と言う。
「へぇ、なんかすごいな。でもある意味一番愛情籠もってるかもな」
瞬間思うなんてなんか凄い感動な感じ。
「そうか?」
佐倉が首を傾げる。
「あ、あぁ」
また見てくるので体がそり気味になる。
「なんだよ」
返事をしても見てくるので仕方なく聞いてみる。
「いや、青木。もう一回俺の名前って呼んでくれ」
予想もしなかった言葉に目を見開く。
「はぁ?何言ってんの?」
「いや、まさか青木まで俺の名前呼んでくれると思わなくてよ」
そう言いながら佐倉が近づいてくる。
「までって、まさかこの話振ったの俺の名前呼びたかったからとかじゃないだろうな」
かなりまさかと思いながら言ってみる。
「あぁ、それなら違和感無いと思ってな」
だけどコイツはケロリとした顔で言う。
「あ、あんたっ、」
やっぱりバカだ。
って言葉さえ声に出ない。
「なぁ、俺の名前呼んでくれよ」
近づいてくる佐倉をもっている皿を盾にして顔を隠す。
だが俺より身長がはるかに高い佐倉はするりと体を屈め、
「良平」
俺の耳元で囁いた。
「っ〜〜!!」
俺が皿を落としたのは言うまでもない。