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□初
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「あ、大雅」

「よっ。久しぶり」

中には青木 良平、龍平の双子が座布団に座っていた。

龍平の方は正座がキツかったのかあぐらをかいている。

「よ。元気そーだな」

「まあね、けっこー大変だけど」

良平が苦笑いを浮かべる。

「なんだ?またなんかあったのか家と」

ほぼ家出状態の二人は家に帰る度何かあるのだ。

この前家に帰ると言っていたがやはり何かあったらしい。

「ううん。俺は。ただ、龍平がね・・・」

良平が苦しそうに眉を歪める。

日に日にその皺は濃くなっている気がする。

「なんだ。お前がなんかあったのかよ」

近くでせんべいをぼりぼり食べてある龍平に目をやる。

見た感じ何か合ったようには見えない。

だが如何せんコイツも良平の双子なだけあり昔は相当抱え込む質だった。

「俺?俺は相変わらず殴られただけだけど」

ケロリとした顔で龍平が言う。

「お前それもれっきとした虐待だからな」

「そーだよ。あんな殴られて。
背中だってまだ痣残ってる癖に」

良平も泣きそうに訴える。

「痣?お前この年齢になっても付けられてんのかよ。よえーな。ほら、どこだ」

適当に背中を叩く。見事命中したらしく龍平が喘いだ。

「いったー!!」

「大丈夫?龍平。
なんで・・・。俺が継ぐって言ってるのに・・・」

良平は悔しそうに顔を歪めた。

良平は龍平の為に当主になると言い続けている。

それでも親は許せないらしく相変わらず龍平ばかりを殴っているらしい。

龍平も龍平で良平の為に的になっているのだ。

それでも良くなった方だ。

昔は病院送りなんてしょっちゅうだった。

「相変わらずお前ん家は腐ってんな」

「それでも多恵さんのお陰でおとなしくなった方だよ」

多恵とは樹の母で周りからはゴッドマザーと呼ばれている。

すごい女性だ。

大雅の母もゴッドマザーを尊敬している。

「あの人すげーかんな。
まぁ、父の方も色んな意味ですげーけど」

「止めろ」

樹が眉を歪める。

「ま、お前も無理すんなよ」

そのまま良平の肩に手をぽっと置いた。

「うん。ありがと」

良平が下を向いて礼を言った。

大雅としては良平が家を継ぐのも反対だ。

だが、龍平が大切な良平はそれを止める事も出来ない。

お互いが止めると言ったらそれはそれであの家は怖いのだ。

何か良平を救えるものがあればいいのだが、
今の所それも見つかっていなかった。
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