rainy day

□rainy day@
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〜 主から執事へ 〜


「僕を抱け」


 驚いている瑠偉斗の表情が、雨の打ちつける窓に映る。

 外では、雷を伴った大雨が今日も降り続けている。


「これは命令だ」


 こう言えば、瑠偉斗が断れないとわかっていて言っているのだから、僕は卑怯だ。

 でも、こうでもしないと僕はお前に償うことが出来ない。

 お前から、僕の双子の妹・茉莉亜を奪ってしまった罪は決して消えることはないだろう。

 僕がお前達の仲を反対さえしなければ、お前は茉莉亜を失うことはなかったし、茉莉亜だって死ぬことはなかったはずだ。

 僕がお前達の幸せを壊してしまった。

 だから、お前が茉莉亜を忘れるまで……

 いつかこの屋敷を後にするまで……

 僕は茉莉亜の代わりになろう。

 だから、どんなにお前の声が優しくても

 どんなに抱き締めてくる腕が温かくても

 勘違いをしてはいけない。

 僕達の間に愛はないのだから。


―――――…。


 瑠偉斗に手を引かれてベッドへと向かう僕の後ろで、眩しい光とともに雷が大きな音をたてて鳴った……。
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