短編集

□真田と名前
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それはとある昼休みから始まった。






「そういえばさ、真田ってなまえのこと名前で呼ばないよね」

「え、呼んでるじゃん」

「名字じゃなくて下の名前でってこと!」

「あぁなるほど」


昼休みにお弁当を食べていたら突然友人に質問された。

名前か…全然意識してなかった。だってずっと名字呼びだったし今更下の名前で呼ぶなんてなんだかむずむずする。


「もう付き合って半年になるんでしょ?そろそろ呼んでもいいんじゃない?」

「友達の期間が長かったから違和感があるよ」

「そこは慣れろ。」


すっぱり言い切った友人にため息をついた。
そこまでが大変なんだってば…


「あんたら付き合ってもあんま変化ないんだもん」

「そうかな」

「うん。もっとイチャイチャしてもいいくらい」

「私と真田がイチャイチャ……ぶっ!」


想像したら似合わなすぎて吹き出した。
そりゃ一緒に帰ったりはするけど手を繋いだりキスしたりとかはまだしたことがない。
別に早くしたいわけじゃないしそのうち出来ればいいなぐらいにしか思ってない。


「そんなんだからいつまで経っても進展しないのよ。」

「だから別にいいんだって。私たちには私たちのペースがあるんだからさ。」

「やだ!それじゃ見てるこっちがイライラする!」

「イライラするって…」

友人の発言にまたため息をつきたくなった。あぁ私の幸せが逃げていく

「よし、決めた!3日以内に下の名前で呼ぶか手を繋ぐ!!」

「は?」

「だから!3日以内にお互い下の名前で呼べるようにするか手を繋いでね!出来なかったら罰ゲームだから。」

「ちょ、ま、」
「あ、昼休み終わっちゃう。じゃ、決定だからね?早速今日からスタート!」

そう言い捨てて友人はさっさと自分の席に戻ってしまった。


「はぁ…」
めんどうなことになったぞ。




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