短編集

□君の隣で
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私と士郎は幼なじみ


家は隣同士


だから、学校に帰る時はいつも一緒


私はそんな士郎を幼稚園の時からずっと好き


なんと一途な片思いでしょうね


まぁ、それはさておき、


私は士郎と一緒に帰る時間をとても大切に思っている


けれど、


今年、私は後悔した


委員会に入ってしまったのだ


夏とかなら、士郎も6時過ぎくらいまで部活でサッカーやってるから一緒に帰れるけど、冬は雪が積もってあまりグラウンドは使えないし、練習時間もうんと短くなる


だから委員会で長びく私は雪が溶けるまで、士郎と一緒には帰れない


「士郎、」

「どうしたの?」

「私、委員会だから一緒に帰れない」

「また?」

「…うん」

「そっか、じゃあ…「吹雪くーん!!」


いきなり女の子達が士郎を囲んだ

「今日は一緒に帰れるしょ?」

「あ…、うん」


士郎の返事に女の子達は喜びの声を上げた

「じゃ、かーえろ☆」

「あ、うん」


士郎は女の子達に連れられて、帰って行った


胸が痛い


私が士郎といれる大切な時間が無くなった

泣きそうだよ…


委員会なんて入んなきゃよかった…


自業自得だろうけど





学校を出た時にはもう6時半は過ぎていた


日も短いから、辺りは真っ暗


道を照らすのは、所々にある電灯だけ


一人で暗い道を歩いていると、頬に冷たいものが当たる


「雪…」

夜空から白い雪がひらりと舞ってきた


変なの


去年は帰り道、こんなに寒くなかったのに

今年は寒いな


士郎が隣にいないからかな?


去年は隣にいたから、ずっとー…


士郎


士郎が隣にいないと


「寂しいよ…」




「それ、ほんと?」


聞き慣れた声


顔をあげると、公園のベンチで士郎が鞄を持ったままにっこり笑って私を見ていた


「士郎…!?先に帰ったんじゃ…」

「うん、途中まではね」

「じゃ、なんで…?」

「寒かったからかな?」

「は?」

「周りにはたくさん女の子がいたけど、去年よりずっと寒い感じがしたんだ」


「…」

「寒いっていうのかな?スースー言ったほうがいいかもね」


「君が隣にいなかったから、」


「僕は君の隣でないと嫌みたいだ」


士郎の言葉に涙が出そうになった

「帰ろ?」

「…うん!」


その日の帰り道は、さっきまでとは嘘みたいに暖かかった





君の隣で




私はずっと一緒にいたい







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空様からの頂きものです!

空様、ありがとうございます!!




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