短編集

□図書館恋愛
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放課後の図書室。
私はこの時間が一番好き。
夕陽が窓から差し込み、図書室全体がオレンジ色に染まっていた。私はそれをカウンターから見るのが、とても好きなのだ。
私がボーっと考えていると、図書室の扉が開かれた。私はハっとして顔を上げると、越前君がだるそうな顔をして、大量の本を抱えてやって来た。


「わっ、越前君、大丈夫!?」
「大丈夫に見える?」「…全然。」
「なまえ、ちょっと手伝って。」
「あ、うん。」

私は慌てて越前君の本を半分持った。
それをカウンター内の机に置く。越前君は、本を置いた瞬間、大きなため息をついて椅子に座り込んだ。私はカウンターの椅子に座って越前君を見つめた。
「はぁ、だるい。」
「お疲れ様、なんであんなに持ってきたの?」
「先生に無理矢理押し付けられた。」
「そう。」
「ん…、眠い…。」
「あ、寝てていいよ、もう仕事ないし。」


そうさせてもらう、と言って、越前君は机に突っ伏した。私はカウンターの方で、記録を書き始めた。
たまにやって来る本の返却や、貸出を行いながら、残っている自分の仕事を片付けていく。
そうしている間にもどんどん人が減っていき、気が付いた時には、図書室には私と越前君以外、誰もいなかった。


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