短編集

□狩屋と節分
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―2月3日.節分



「狩屋」

「なに?なまえ」


ちょんちょん、と肩を叩かれ振り返ればニコニコ笑っているなまえがいた


「狩屋の家…お日さま園で豆まきってする?」

「豆まき?……あぁ、今日は節分か」

なまえが突然聞くから反応に遅れた

そういえば昨日瞳子姉さんが大量に豆を買ってきてたな…


「やると思うよ。でも何で?」

「さっき狩屋もいってたけど今日節分でしょ?だからちびちゃん達と豆まきしたいなぁって思って。」


なまえはたまにすごく子供っぽくなる
中学生にもなって豆まきなんて…
まぁそんなところも可愛くて好きだけど。


「ふーん。じゃあ今日うち来る?」
「いいの?!やったぁ!」


無邪気に喜んでいる姿を見てると顔が緩むのを感じた
けどそんな顔は見られたくないから必死に無表情を保った


「じゃあ今日は真っ直ぐ狩屋ん家に行くから!」

「わかった。じゃ放課後に」


バイバイと手を振って自分の席に戻って行くのを見送ってから俺は机に突っ伏した


あぁ、放課後が楽しみだ








──────……


そして待ちに待った放課後

俺たちはお日さま園の前にいた。

「楽しみだなー豆まき!!」

「はいはい。分かったから中に入るよ、寒い。」

「ふふ、はーい。」


握っているなまえの手を引いて中に入る

お日さま園の中は暖房が聞いていて暖かかった


「マサキお兄ちゃんお帰りー!!あ、なまえお姉ちゃんだ!!!」

「こんにちは」


きゃー!と言ってなまえに抱きつくちびっこ達に少しムッとした

なんだよ、なまえも嬉しそうにしちゃってさ


「お前ら離れろ!なまえが困ってるだろ!」

「今日ね、みんなで豆まきするんだよ!なまえお姉ちゃんも一緒にやろ!」

「聞けよ。」

はぁ、とため息をつくがあいつらの耳には届いちゃいない


「じゃマサキお兄ちゃんが鬼ね!」
「は?」

「はい、お面」

「ちょ、」


あっという間に鬼のお面を被せられ、目の前には紙の入れ物一杯に入れた豆を持ってるちびっこ達となまえがいた


「せーの!」

「「鬼はーそとー!!」」


一斉に投げられた豆が体中のあちこちに当たる


「いたっ!ちょ、これ地味に痛いから!」


抵抗してもなかなか止めないなまえたちに段々イライラしてきた


「っこの!」

「きゃー狩屋が怒ったー!」


俺が追い掛けると逃げるなまえ

「待てコラ!!」

「待てって言われて待つ人なんていませんー」

べー!と舌を出して走るなまえ

よそ見をしていたから前に人がいるのに気付いてない


「っなまえ!前!」

「え?わっ」

俺が注意した瞬間にどん、とぶつかってしまった


「おっとっと。大丈夫かい?」

ぶつかったのはヒロトさんだった。
さすがはサッカーで鍛えていただけあってかなり勢いがあったはずなのに全然よろけてなかった


「あ、ごめんなさい!」

「いえいえ。次からは気をつけるんだよ?」

「はい…」


にっこり笑ってなまえの頭を撫でたヒロトさん
頭を撫でられたなまえは顔を赤く染めていた

そんななまえの表情を見たら、なんだかイライラしてきた。


「なまえ!行くよ!」

「え?うわ!」


ぐい、となまえの手をひっぱって歩いていく

進んだ先は俺の部屋


「か、狩屋? んぅ?!」

バタンとドアを閉めた瞬間お面を取りなまえの唇を塞ぐ


「ん、 はっ か…りや」

「黙ってろ」

何度も何度も角度を変えてキスをする


「ふ、んぁ…んん!」

どんどん!と胸を叩かれ苦しいと言われたので唇を離す


「はぁ…どうしたの、急に」

「別に」


息を整えながら聞いてくるなまえに素っ気なく返す


「別に、じゃないでしょ?あ、もしかしてヒロトさんに嫉妬した?」

「っ!」

図星をつかれ顔が赤くなった


「あれ、図星?ふふ、狩屋可愛いなぁ」

「なっ!」


―ちゅ、


反論しようとなまえの方を向いたら頬に柔らかい感触

「私には狩屋だけだから。大丈夫だよ」


そう言って満面の笑顔を見せたなまえを思わず抱き締めた


「あんまり簡単に撫でられるなよ。」

「はいはい」

「返事が適当過ぎ。そんななまえにはお仕置きが必要だな」

「え…」

「逃げられると思うなよ?」





嫉妬のちキス


(え、ちょ待って!!) (待たない。) (お、鬼ぃぃ!!!)








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あとがき


あれ?なんか前回とあまりかわりないおち…?


次はバレンタインシリーズを書きたいと思います!

でゎ!!

.

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