志士夢

□Eternal
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林中の細道を、貴方と手を繋いで歩く。

一番はじめの、出会った頃。この手を払われたこともあったから、まさかこんな日が来るなんて思いもしなかったけれど…。この人の手は、とても大きくて、優しくて、温かい。……すごく、嬉しい。
思わず顔が緩んでしまう。
ふと、視線を感じて彼を見た。…もしかしてわたし、余程変な顔をしていたのかな。


「──…慎ちゃん、どうしたの?」


恐るおそる訊ねる。


「…ん。ちょっと」


短い返事に一層不安になった。…だけど、次の瞬間には困ったような笑みを浮かべて、柔らかくわたしを見つめていたから、わたしも貴方を見つめ返す。……すると、ゆっくり、ゆっくりと。ふたりの距離が、繋がれたままに縮まっていった。


「………っ」


触れ合いそうな程近くなって、忽ち頬が熱くなる。
恥ずかしくて…、堪らず俯いてしまった。


「………──」


わたしの名前を囁きながら、貴方はわたしに口づける。

ずっとずっと、いつまでも。
貴方とこうして共に在れたなら…。

閉じた瞼の裏、まだ見ぬ未来に想いを馳せた。





『Eternal』



*
『幕末志士の恋愛事情/末永い世に、(中岡)』
番外。

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