志士夢

□アナタヲキザミツケテ、
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貴方の眩しい笑顔。
きらきら光る朝の陽射しが相乗効果で更に輝いて。
一瞬、不安なことなんて全部忘れちゃったの。
お兄ちゃんみたいな安心感と、甘い香りにどきどきもしていた。

……きっとあの時だわ。

あの時わたしは、まだ気が付いてなかっただけ。

貴方への気持ちの芽生えは…────きっと、あの時からだったんだ。









*


「──っ、あ」


堪えられなかった声に、一瞬彼の指先が強張った。


「……あ…ご、ごめん」


合わせた視線から逃げるように両手で顔を隠して咄嗟に謝ると、上からふっと穏やかに息が漏れる。


「謝んなよ。寧ろこっちが悪者だろ…」

「……え…」


訊ねるように目を向けたわたしの額を優しく撫でながら、汗で張り付いた前髪を払った。


「……続けて良いか?平気、か…?」

「……平助くん…」


頬を撫でる繊細な指先に、自分は充分過ぎるほど気遣われているんだと…、愛されているんだという彼の気持ちが見えて胸がいっぱいになる。


「……平気」


伸ばした腕を首に回して伝えた。


「平助くんとなら、わたし、絶対大丈夫」

「……莉々」


甘く響かせるその声は鼓膜を震わせ、頭の中心から全身に巡っていく。
彼の匂いと温もりに包まれたわたしは、いつの間にか震えていた身体の力を抜いていた。


「……ほら」


もう大丈夫でしょ。
見上げて笑んで見せると、そっと目を細めて微笑みを返してくれる。

…そして。

熱い視線で射抜くように此方を見下ろしながら、その唇が近付いてくる。

熱い、吐息が首筋にかかり。

冷たい、唇が耳を食べる。


「……はっ…あ…!」


喉元から堪えても、甘い叫び声は押さえきれず…、彼に回した手に力を入れてしまった。


「…ふ、耳が弱いのか?」


ぴちゃ、っと水音を立てながら舐め上げられ、ぞくぞく背筋を上がっていく快感に身体中が逆上せていく…───。










───…瞼を閉じても、はっきりと。

その煌めきは
わたしを
わたしの胸を
ちりちりと焦がして…………









刻んでいく。




『アナタヲキザミツケテ、』
(今までも、これからも。わたしには貴方だけ…)



***
平助くん二弾。前作の続編です。

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