Novel
□水族館デート
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**土沖前提**
水族館デート
「土方さん,俺あれやりたいでさァ!」
「ああ?どれだよ」
総悟が指差す方にあったのは“イルカとキス体験!!”と書かれた看板。
「いや,俺もう腹減ったから先に昼飯行こーぜ」
「え〜、どうしても…ですかィ?今日はこの時間が最後なんでさ」
う…こんな言い方で上目遣いかよ。反則だ。
「んーまあ,昼飯は後でそっち行くか」
「やったー!さすが土方さん」
こんな嬉しそうな顔されたら空腹なんてどっか行っちまう。
+++
もうすぐで俺達の順番だ。俺はこういうのをやるたちじゃないので,総悟だけがやることになっている。
「あ,次ですぜ。」
ほら,行きましょと総悟が俺の腕を引っ張る。
イルカの近くまで来て見ると,案外可愛い。
係員が,
「そこにしゃがんで顔を近づけてくださいね〜」
とにこやかに言う。
「こ,こんなかんじでいいんですかねィ」
総悟がおずおずと俺を見ながら腰を屈める。
コイツ,緊張してる…。いつもは強気だから,こういう時のギャップがたまんねぇんだよなあ〜,なんて一人で浸ってると,ひぁ,という小さな声が聞こえてきた。どうやら始まったらしい。
総悟を見ると,嬉しそうにイルカにキスされながら頭を撫でたりしている。
あ〜あの総悟の顔可愛すぎる。うん,可愛すぎる…………つーかキス長くね!?
他の客は5秒くらいで終わってたのに,総悟の時はやたら長い。イルカを睨みつけると,勝ち誇ったように笑われた。…ような気がした。